第96回全国高等学校サッカー選手権大会 埼玉県1次予選 川口東 vs 滑川総合
選手権埼玉1次予選代表決定戦が27日に各会場で行われた。川口東高校グラウンドでも2試合が行われ、第1試合はグループDを勝ち上がった川口東高校と滑川総合高校が対戦。試合はスコアレスで延長戦に突入する中、延長前半9分にセットプレーからDF石川靖斗が決勝点を奪った川口東が1ー0で勝利し、県大会出場を決めた。
序盤から両軍ともに高いテンションで臨む中でペースを握ったのは川口東。前半6分にはDF元木比加瑠のフリーキックが守備陣の裏にこぼれると、フリーで抜け出したFW石川諒がシュート。これは滑川総合GK松本竜弥が辛うじて防いだが、その後も石川諒のドリブル突破や主将のMF鎌田和樹が起点となって攻撃を仕掛けていく。
守備においても「相手のキック力を封じるためにとにかく前からディフェンス」(鎌田)。前線から激しく寄せて相手に良い形でボールをつながせない。前半は0ー0のスコアレスながら川口東が流れを持って試合を折り返した。
後半も一進一退の攻防でゲームは展開。前半はやや守勢に回ることが多かった滑川総合も右サイドのMF吉沢優希、DF芝本尭雅が起点となって押し込む場面を作っていく。
後半8分には芝本のクロスにDF立野颯人がエリア内でボールを受けたが、川口東は鎌田や石川靖、元木、DF千野翔大といったプレーヤーが次々と身体を寄せてシュートを食い止めた。その後もディフェンスラインを中心に声を掛け合いながら相手の時間を凌いだ川口東。
30分過ぎには途中出場の1年生MF矢島優斗と石川諒のコンビネーションで右サイドを突破したが、キーパーの好判断によりこれもゴールにはつながらない。終盤にかけても両者ともに一歩も引かない展開を続けると勝負の行方は80分では決着がつかず。10分ハーフの延長戦にもつれ込んだ。
勝負が動いたのは延長前半9分。川口東は中盤右サイドでフリーキックを獲得すると、鎌田のキックがこぼれたところを「当たった感触が良かった。蹴った瞬間にもう入ったかなと思った」という石川靖が右足を振り抜いてゴールネットに突き刺した。
連日の気温30度超えに加えて、タフな展開を凌いでの延長戦と体力も限界のところまできていたはずだが、「チームが勝てるんだったらいくらでも走れる」と話す頼り甲斐のあるセンターバックの一撃で1ー0とリードを奪った川口東。終了間際には同点弾を狙う滑川総合の猛攻に遭ったが、ディフェンス陣を中心に最後は全員でこれを守りきって、昨年度に続き2年連続で選手権2次トーナメント進出を決めてみせた。
まさに粘って粘っての勝利に「うちのスタイルそのままのサッカーだった」と川口東・上原克彬監督。「延長、PKも含めて粘り強くやるのがうちのスタイル。最後は必ずやってくれると思っていた」。選手たちも「いままで走ってきた分、そういった面でピッチ上で上回ることができた」と語るように、終盤にかけても落ちない運動量、集中力はチームの大きな持ち味だ。
この代は「U-16の時から決定力が全くない。点を取る術がないという状況から始まった子たち」(上原監督)だったそう。試行錯誤を繰り返しながらやってきたというが、逆にいまそれが良い方向に働きつつある。「(選手たち自身が)考えるようになってきた。どうしたら点を取れるか、ワンプレー、ワンプレーに対して考えるようになった」。加えてもともと主将や中心選手関係なく、気の抜けたプレーがあれば言い合いも辞さなかったという世代だ。その結果「ここにきて技術的なところや精神的なところも伸びてきた」と指揮官は話す。6月のインターハイでは目標の県8強入りは逃したが、ベスト16進出も果たした。
今年で上原監督が川口東に赴任して6年目。選手権2次予選にはこれまで2度チャレンジしているが、2014年は西武文理高校に、昨年は武蔵越生高校にどちらも無得点で初戦敗退となっている。「この代で塗り替えられれば。俺らで勝ちたいですね」というのは前線で多くのチャンスを作っていた石川諒。まずは初戦突破、そして大目標である県8強入りを目指す。
石黒登(取材・文)
試合結果
川口東 1-0 滑川総合
0(前半)0
0(後半)0
1(延前)0
0(延後)0