“結果”を求めつつ、“遊び心”も持ってー。昌平のキーマン、MF荒井悠汰は「もっとチームを勝たせられる存在」になり、全国での飛躍を誓う

怪我に泣いた昨年を越え、今年はさらにチームを勝たせられる存在にー。雪で30分1本となった「NEW BALANCE CUP 2022 IN TOKINOSUMIKA」決勝にMF荒井悠汰(2年)はフル出場。重馬場の中でも馬力のあるドリブルやキープで存在感を見せ、昌平の今季1冠目に貢献した。

荒井にとって昨年は難しい1年となった。選手権でベスト8に貢献し、日本高校選抜入り。合宿では高校トップレベルの選手たちの中でも特徴を出し、3月のデンソーカップチャレンジサッカーでは大学生相手にもフィジカルの強さで負けず、正確なボールコントロールを見せていた。

4月にはU-17日本代表候補にも選出。しかし体調不良により辞退することになると、この頃からコンディションに悩まされるようになる。総体予選では怪我で準々決勝以降は途中出場に。準決勝の正智深谷戦も後半からピッチに立ったが、チームを勝たせる1点を奪うことが出来ずに敗退。雪辱を期した選手権予選は3回戦で武蔵越生に破れ、全国には手が届かなかった。序盤戦調子の良かったプリンスリーグも、荒井の不調と合わせるように最終的に5位に終わっている。

荒井自身も「怪我というのもあったんですけど、それは言い訳に出来ない」としつつ、「去年は全然うまくいかなかったというか、納得いかないプレーが多かった。去年は本当に自分らしさが全然出ていなくて、得点だったりの部分で、チームに本当に迷惑をかけていた」と振り返る。

だからこそ、「今年は得点、アシストを増やして、もっとチームを勝たせられる存在になれれば」。トップフォームであればこの年代でも抜けた存在であることも事実。まずは1年を通してコンディションを維持することに注力しつつ、いままで以上に“結果”でチームを勝たせる存在になる。

そしてそれと同時に良い意味で力を抜く、というのもテーマになってくるかもしれない。藤島崇之監督は「1年生から試合に関わってきた中で、彼の求められる部分というのは多々あると思う。その中で結果という部分に関してはよりフォーカスしながら、とはいえ、あいつは“遊び心”があった方がより良いプレーが出来ると思う。「やらなきゃいけない」という、意識の強さはベースとしてある選手なので、逆に言えばもうちょっと楽にプレーするというか、良い意味で楽に相手を見ながら判断出来るようにしておけばもっと良くなる」と話す。荒井も昨年は注目を受けることや2年生で10番を背負うことに対する重圧もあったというが、「(今年は)それは気にしないで自分らしいプレーが出来ればいいなと思います」と良い意味で肩の力が抜けている印象だ。

“結果”を求めつつ、いつでも心に“遊び”を持って、プレッシャーを飼いならす。高校選抜で一緒だったMF廣井蘭人(帝京長岡2年)、FW福田師王(神村学園2年)の活躍にも刺激を受けているという荒井は「まずは厳しい予選を勝ち抜いて、全国でもっと羽ばたけるように、頑張りたい。今年はしっかり全国まで行って、ベスト8の壁を越えたい」とこの1年への抱負を語った。

石黒登(取材・文)