立教新座DF三浦航主将の“立教愛”に気づけた3年間。大学でもこのエンブレムで新しい歴史を

いまははっきりと言うことが出来る。この学校が大好きです、と―。歴史を作った代のキャプテンを務めたDF三浦航(3年)にとっての高校3年間はチームへの愛に気づけた3年間だった。

浦和西とのS1昇格をかけた一戦はスタメンを外れたが、「僕が出てからは絶対に流れを変えてやるという気持ちでいた」という三浦はスコアレスで迎えた後半23分からピッチに立つと、声を張り上げてチームを鼓舞し、身体を張った守備で貢献。すると立教新座は後半44分にDF岡本聡吾(1年)が劇的決勝弾。終了のホイッスルを聞くと笑顔で仲間たちと喜びを分かち合った。

試合後は「1年間S1昇格のためにやってきた。僕たちの入れ替わりの代が埼玉県で2位を取って、環境が良くなるということで入学してきて、そういう中でやっぱり同じ推薦で入ってきた子だったり、チームの仲間と一緒に「埼玉のてっぺんを目指そうぜ」と言ってやってきた中で、選手権では負けてしまったんですけど、1年間を通してやってきたことが最後ここで出せて、勝てて終われたので、本当にいまは歴史を変えられたなという感じです」と感慨深そうに語った。

言葉や立ち振る舞いからも“立教愛”を感じさせるキャプテン。しかし、入学時は「本当はあまりここに来たくなかった」という。立教新座はその前年に関東大会予選で県準優勝したものの、全国的に見ればまだ無名の高校。GRANDE FCで全国大会を経験していた三浦は1年時からAチームに入ったが、「1年生の時はプライドというか、どこかやっぱり思い入れが持てなかった」。

それでもその意識が少しずつ変わり始めたのは2年生になってからだ。同じくGRANDE出身のMF大塚康生やDF井口朝陽、DF齋藤隼一、MF高松大地が中心となって「立教を変えていこうぜ!」というムーブメントを作り出す。その中で三浦自身も「僕も自覚を持たないといけないなというふうになった」。すると「本当に良い仲間に恵まれて、僕についてきてくれる仲間がこんなにたくさんいた」ことに気づくことが出来、「自然とこの学校が好きになった」という。

3年時にはキャプテンに就任。その際に三浦は「僕が引っ張るチームだけど、僕だけが引っ張るチームじゃない」と全員で引っ張っていくことを強調した。トレーニングひとつとっても全員が主体性を持って取り組み、その中で養われた“”チーム一丸”の精神が最大のストロングだった。その強みを生かし選手権予選では57年ぶりの4強進出、そして初のS1昇格と歴史を作った。

いまははっきりと言うことが出来る。「この学校に入学して良かったし、この仲間とやれて良かった。いまはもう入学当初とは180度違って、本当に大好きな学校です」と。そして「僕は幸せです!」と、最高の仲間たちとともに、最高のチーム、最高の笑顔で高校サッカーを終えた。

卒業後は系列の立教大でサッカーを続ける。この前日、立教大は関東リーグ残留をかけ、城西大と対戦。試合はラストプレーで決勝点を許し、来季の都リーグ降格が決まった。この試合をライブで見ていた三浦は「本当に初めて自分が所属していないチームで悔しさを感じた」という。

その悔しさもこの試合にぶつけたという三浦は「大学に入ったらまた大学の歴史を変えるというか、大学でもステップアップして、自分の力でまた大学の新しい景色が見られたらなと。そして関東リーグにまた戻れるように精進していけたらなと思います」と意気込み。“立教愛”に気づけた高校3年間。また4年間、この大好きなエンブレムをつけて、大学でも新たな歴史を作る。

石黒登(取材・文)