いよいよ第100回大会決勝が14日、幕を開ける。選手権への切符を獲得するのはどちらか。

決勝に進んだのは浦和南と西武台。両校が選手権予選決勝で当たるのは初めてとなる。今年はS1リーグで2試合、関東大会予選の準々決勝と3度対戦し、西武台の2勝1分となっている。

3年ぶり10度目の優勝を目指す浦和南は、2回戦で越ケ谷を3-0で下すと、ひとつの山場となった3回戦では成徳深谷にスコアレスからの延長、PK戦の末に競り勝ち、勢いに乗った。準々決勝では浦和東を4-0で、準決勝では立教新座を3-0で下し、ファイナルに駒を進めた。

守備陣はここまで4試合340分間無失点を継続中だ。守護神・黒田海渡(3年)は得意とするハイボールの対応を含め安定感が光る。DF坪井優太(3年)主将、DF戸部悠太(3年)は空中戦、対人に強く、DF井上喬介(3年)、DF安田航大(3年)の両SBも攻守で頑張ることが出来る。

中盤底ではMF小川赳生(3年)、MF奥村青葉(3年)がセカンドボールをしっかりと回収して連続攻撃に繋げる。左SHのMF宇山友貴(3年)はキック精度が武器。今大会チームはまだセットプレーからの直接的なゴールはないが、決勝の1点を争う展開となればやはり鍵を握るのはセットプレーになりそう。左SHの10番MF大里直也(3年)は決定的な仕事を出来る選手。準決勝でも独力でエリアを引き裂き、先制ゴールを記録。現在2試合連続ゴール中と好調だ。

前線は勤勉にプレスをかけるMF坂本空翔(3年)とFW立沢太郎(2年)のHAN FC出身コンビ。立沢は当初控えFWという立ち位置だったが、3回戦から出番を得ると2試合連続弾と指揮官を驚かせる活躍を見せている。また、FW三上倫空(3年)ら特徴の違うFW陣も控える。

11年ぶり4度目の選手権を狙う西武台は、2回戦で花咲徳栄に8-0と快勝発進。3回戦で埼玉栄を2-0で下すと、準々決勝では昨年苦汁をなめさせられた武蔵越生と対戦。先制するも一時同点に持ち込まれたが、後半も強さを見せて2-1と勝ち越し、昨年のリベンジを果たした。準決勝の武南戦は前半セットプレーを含む4得点と相手を呑みこみ、2大会ぶりの決勝進出だ。

U-16年代から注目されてきた「第100回世代」は攻守において穴のないチーム。GK淺沼李空(3年)はキックが持ち味。対人の強さを見せる武笠隼季(3年)はDFの中心選手だ。またその武笠とコンビを組むDF河合陸玖(3年)も当初は4番手という立ち位置だった中で台頭。右SB原田蓮斗(3年)主将は対人の強さと攻撃性を生かし、攻守に貢献度も高い。また左SB安木颯汰(3年)の復帰も大きい。準決勝では攻撃に幅と奥行きをもたらし、3得点に絡んだ。

MF岡田端生(3年)は今大会1アンカーを務める中で中盤の潰し屋、フィルターとして機能。両SHのMF山本匠馬(3年)、MF丸山実紀(3年)は縦への推進力に加え、得点感覚もある。トップ下のMF和田力也(3年)はロングスローも魅力の選手だ。また、復帰明けで今大会は限定的な出場となるMF吉野光(3年)のゲームメイク力も行きづまった展開となれば生きてくる。

前線はボールに入る感覚が抜群のエースFW市川遥人(3年)を軸に今大会はFW細田優陽(3年)、FW松原海斗(3年)が前後半で入れ替わる形が多い。細田であれば50mを6.1秒で走る快速、松原であれば切れ味の鋭いドリブルと市川とのフォルチコンビで崩していくなど、色の違う選手を使えるのも大きな強み。この交代がひとつポイントを握ってくる可能性は十分ある。

どちらにせよ鍵を握るのは先制点か。浦和南はこれまで同様立ち上がりから相手を飲みこみ、大里の個やセットプレーから先にゴールを奪いたいところ。西武台も今大会はデザインされたコーナーキックからゴールを重ねており、セットプレーが勝敗を分けることになるかもしれない。

石黒登(取材・文)