昨年は浦和JYで全国3位!武南の10番を背負う注目ルーキーMF松原史季。選手権で活躍し「武南から代表」、そしてプロへ

選手権予選も3回戦を迎え、正智深谷、武南が登場する。関東予選、インハイ予選準Vで3度目の正直を狙う武南には期待のアタッカーがいる。背番号10を背負う1年生MF松原史季だ。

松原は昨年浦和レッズJYの右サイドバックとして高円宮杯でチームの全国3位に貢献。小柄ながらも積極的な攻撃参加を見せ、準決勝の鹿島アントラーズつくばJY戦ではゴールも記録した。

出場機会を掴んでいただけにユースへの昇格を望んでいたが叶わず。「もちろん落ちた瞬間は(気持ち的にも)落ちた部分もあった」というが、「そこからプロになっている選手もたくさんいる。やっぱりそこで落ち込んでいちゃダメ。この経験をプラスに捉えて、こっちでも頑張るという気持ち」とすぐに切り替え。高校は中学校時代の先輩の誘い、また関東リーグやトレセンなどでともにプレーしたFW小田晄平(1年)らがいる昌平を「倒したい」という想いで武南を選択した。

「自分は身長があまりない方ですが、それをマイナスに捉えちゃいけないと思っている。小さい人は小さいなりに相手よりも小回りが利くだとか、そういう相手に勝る部分も全然ある」。身長は160cmと小柄だが、それをディスアドバンテージと捉えず、自分の武器として生かしている。

浦和JYでは右SBを務めていた中で「個人的にはずっと前をやりたかった」と武南では希望する中盤の攻撃的なポジションへ。念願の前目のポジションでのプレーは「本当に楽しいです!」。小回りを生かしたドリブルで守備網を切り裂き、そこからのパスやシュートで決定的な仕事を果たす。参考としているのはリオネル・メッシだ。また、後ろのポジションではなかなか得られなかったゴールやアシストという形で記録として残るという部分にも喜びを感じているという。

加えて今大会は10番を背負うが、これも「レッズの時からずっとつけたかった」番号。しっかりとその重みも感じながらも、その責任感をプラスに置き換えて、中心選手としての躍進を誓う。

その上で高校3年間でユースに上がった仲間たちを追い越していきたいという野心もある。松原は「落ちたからといって自分が負けたとは思っていない。高校で追い越すことも全然可能ですし、そこはもうフラットに関係ないと思っている。自分は現段階で向こうよりも下と捉えられたわけですから、やっぱり絶対に負けられない。俺も頑張っているから、ユースのやつらも頑張らなくちゃと、逆に刺激になるくらいしっかり結果を残して頑張っていきたい」と想いを語る。

ユース昇格組では、すでにMF早川隼平(1年)がU-16日本代表候補に継続的に招集されている。「やっぱり負けていられない」という松原の目指しているステージも当然そこだ。「武南から代表みたいな、そういうのが自分が目指しているところ。チーム事情とか高校事情で、代表や選抜は絶対に無理みたいな、そういうのは絶対に嫌なので、武南からそういうところに食い込んでいければ」。もちろんまだ運動量の面などでも課題もあり「まだまだ全然ですけど」としたが、「やっぱりそういう存在になりたいです」と、古豪・武南から久しぶりの世代別代表入りを掲げる。

武南から代表、そしてプロの夢を実現させるために。まずは選手権で埼玉の覇権を取り戻すことが直近の目標だ。「(ここ数年は)昌平が出ていますけど、今年もインハイで番狂わせもあった。自分たちは決勝で負けてしまって、やっぱりそういうところのチャンスを今後ものにしないといけないと思う。埼玉県は昌平だけじゃないぞというのを見せて、埼玉県で1位を取りたい」。その上で「自分たちの代で全国のトップレベルまで持っていって」自らの目標も掴み取る。

石黒登(取材・文)