西武台DF安木颯汰が絶妙キックで2アシスト。運動神経抜群、守備面向上で左SBの一番手に

西武台の左SB安木颯汰は関東大会決勝の日体大柏戦で絶妙キックから2アシストを記録。1点目は右サイドからの展開からMF福沢安莉のパスを左サイドで受けると「結構練習でもやっている形。市川がファーに流れるというのは試合前のミーティングでも話していたのであそこは狙い所だった」と左足のピンポイントクロスでFW市川遥人の先制ゴールをアシスト。その後同点とされたが後半29分、MF吉野光が中盤でボールを回収すると、安木は切り替え早く前線にボールを供給し、ショートカウンターに抜け出した市川が決勝点となる2点目を突き刺した。

「やっぱりうちのエースが決めるところで決めてくれたのがでかい」と安木。一方で質、タイミングともに完璧だった自身のアシストについては「みんなが繋いでくれたボールを俺はただ合わせただけ。本当にみんなのおかげで、みんなの勝利だと思います」と仲間たちに感謝していた。

また、ゴール以外でも大会を通して、相手エリアに積極的に切り込んでフィニッシュまで絡んでいく攻撃性、守備でも1対1の強さや身体を張ったプレーを見せるなど、攻守で貢献していた。

安木はもともとダブルボランチの左やトップ下などでプレーしていた中で左サイドバックにコンバート。しかし当初はディフェンスの1対1などに難があり、出場機会を得るまでには至らなかった。それでも守屋保監督は「体育の時間自分が見ている中で本当に何でもこなすんですよ。バレーボールをやっても、バレーをやっても、野球をやっても上手で、空中のバランスが良い」と評価。安木もずっとスポーツをやっていたという父親譲りの運動神経には自信を持っていた。

そういった中で「これはひょっとするんじゃないか。じゃあ思い切って守備さえ良くなればいいんじゃないかと思い、そこのところだけはトレーニングだとか、守備の1対1の局面だとかは彼にはかなり要求した」と守屋監督。安木も選手権メンバー落ちを経験したことでそれまでのプレーを反省し、守備に力を入れるように。ドリブラーのMF松原海斗との1対1や「ディフェンスは気持ちとの戦い。やっぱり走れるかどうか」とそれまで以上に走り込みを精力的に行った。

その結果、この半年で守備面が大きく改善。本人も「いまはあまり抜かれるという感じはないですね」と自信を見せる。さらに「ディフェンスができるからこそ、攻撃に繋げられるというのはある」と判断も向上し、守備位置から持ち味の攻撃も仕掛けられるように。守屋監督も「本当に球際だとか、反転して身体をネジ入れて自分のものにして、味方にパスするとか、遠くまで見えていたりというのが日に日に良くなっている」と変化を語る。当初は左サイドバックの3番手という位置づけだった中、最終学年で大きな伸びをみせてポジションを掴み取るまでに成長した。

参考にしているのはリヴァプールの左SBアンドリュー・ロバートソンやトッテナムFWギャレス・ベイルといった自らと同じ左利きの選手たち。「それこそロバートソンみたいな鋭いクロスを上げたり、ベイルみたいな縦の突破とかも全部含めて“埼玉一の左サイドバック”になりたいと思っています」。

インターハイ予選に向けては「ここで調子に乗ることなくいきたい。インターハイは昌平が出てくる。一番の相手だと思っているので、絶対に負けないように頑張りたい」とやはり昌平を警戒。昌平も今年、本間温士、篠田大輝と攻撃性能の高いサイドバックを有しているが、西武台も安木に加えて原田蓮斗と面白い選手がサイドにおり、「サイド勝負になると思います」と語った。

石黒登(取材・文)