昌平はプリンスリーグ関東第１節で三菱養和SCユースと対戦。FW小見洋太のPK弾とDF小澤亮太のゴールで２－１と開幕戦を制した。MF須藤直輝はドリブルやキープでチームに流れを呼び込んだが、「やっぱり僕個人が今日は仕掛けられてないですし、自分の良さが出せていないというところはチームのキャプテンとして、注目される選手としてダメだと思います」とした。

このコロナ禍は昌平の10番にとっても非常に厳しいものだったという。特に「かけていたと言っても過言ではない」と話す、インターハイの中止は大きなショックだった。

須藤にとってインターハイは特別な大会だ。2018年は１年生10番として全国３位に貢献。準決勝で敗れた桐光学園MF西川潤（現セレッソ大阪）からは10番として「もっとゴールに近い選手、ゴールに貪欲にプレーできる選手に成長しなければいけない」と刺激を受けた。昨年は予選で涙を呑んだが、この時の経験、悔しさが、のちの選手権予選Vに繋がったと話している。

「やっぱり全然切り替えられなかったです。自分はインターハイで悔しい想いをして、もうインターハイにかけていたと言っても過言でもない。やっぱりインターハイで結構成長できるとは思っているので、その機会がなくなったというのは本当に悔しかったです」。

そういった中で失意の須藤を勇気づけたのは他競技を含む同世代の仲間たちの言葉だ。

「全国の高校サッカーをやっている人たちが前を向いてやろうという気持ちを見せていた。山梨学院の笹沼航紀くんとかがtwitterでインターハイがなくなったけど頑張ろうというツイートをしていて、あとは他競技の子、インターハイが最後という子たちもインターハイはないけど頑張ろうっていう、そういうメッセージとかをいろいろと見たので、自分もここでなよなよしていられないなと思って、切り替えてやろうと思いました」。

そこからは一気に気持ちを切り替え。キャプテンとして時には相談に乗りながら、アドバイスを送りながら、チームを牽引する姿に指揮官も「須藤が雰囲気を作ってくれる」と信頼を寄せる。

今夏には進路をプロに一本化。コロナの状況もあり、なかなか練習参加はできていないという中でプリンスはアピールの場だ。「本当にたくさんのスカウトの方が見に来ているので、やっぱり１試合１試合が勝負だと思ってやっています」。レベルの高いプリンスの環境でレベルアップしながら、アピールしながら、連覇のかかる選手権予選に向けて突き進む。

石黒登（取材・文）