今年卒業する選手達はどこへ「埼玉の選手達の卒業進路2019年度」(大学経由プロ・アマ編)

注目はやはり武南出身の紺野和也。クマガヤは6年連続J輩出で関東街クラブ最大派閥に

大卒の注目は武南高出身のFC東京MF紺野和也だろう。161cmと小柄ながら切れ味鋭いドリブルが武器で「武南/法政のメッシ」と呼ばれたアタッカーは昨年2月に争奪戦の末にJ1・FC東京内定が発表された。昨年は特別指定選手としてU-23チームでJ3、4試合に出場。迎えた今季は中断期間までのACL3試合を含めた全4試合にベンチ入り。ACL第2節パースグローリー戦でトップデビューを飾ると、開幕戦となった清水戦で途中交代からJ1初出場を果たした。

同じく法政大からは浦和レッズユース出身のFW松澤彰がJ3カターレ富山へ、5年前に埼玉3冠を達成した時の西武台高のレフティDF橋本陸がJ3福島ユナイテッドFCへの入団を決めた。

キャプテンとして西武文理高を初のインターハイに導いたDF三ツ田啓希はJ2松本山雅FCに加入。中央大では3年時までトップチームでの出場機会はなかった中で、187cmという恵まれた体格を生かしたハイボールへの強さや、左足のキックを評価されてプロ入りを勝ち取った。

レッズ下部組織出身で、昨年は初の関東1部リーグを戦った立正大の3位躍進に貢献したDF中塩大貴はJ1ヴァンフォーレ甲府で、GRANDE FCから静岡学園高、専修大と進路をとったMF鹿沼直生はJ3・SC相模原でプロに。MF松崎快(川越ひまわりSC→大宮U15→大宮U18→東洋大)はJ2水戸ホーリーホックへ、MF髙橋利樹(大宮南ウイングス→HANF.C→埼玉栄高→国士舘大)はJ3ロアッソ熊本でキャリアをスタートさせる。ちなみに流通経済大からJ1覇者・横浜F・マリノスに進んだ193cmの長身GKオビ・パウエル・オビンナもさいたま市出身で、ジュニア年代を大宮アルディージャで過ごした埼玉プレイヤーだ。

松澤、中塩と同じく浦和アカデミー育ちのMF松尾佑介は昨シーズン、J2横浜FCで特別指定選手として21試合に出場し、6ゴールを記録するなど、すでにJの舞台でも活躍を見せている。

また、今年もクマガヤSCからJリーガーが誕生。同クラブからのJ入りは6年連続となる。MF金子拓郎は仲間たちに先んじる形で、昨年2月にJ1北海道コンサドーレ札幌に内定。昨年は特別指定選手としてリーグ戦6試合、リーグ杯8試合の14試合に出場し、ゴールも記録した。加藤ツインズの弟、FW加藤陸次樹はJ2ツエーゲン金沢へ。飛距離40mを超すロングスローが武器のDF原山海里はJ3いわてグルージャ盛岡入りとなった。これで今季Jリーグでプレーする同クラブ出身者は11人となり、関東の街クラブではトップの輩出チームとなっている。

また、2021年度の加入内定者もすでに発表となっており、「大学No.1アタッカー」との呼び声も高いFW小柏剛が札幌入りを決めた。大宮アルディージャ下部組織出身で、ユース年代では日本クラブユース選手権大会、高円宮杯プレミアリーグEASTで得点王となった経歴を持つ。大学は強豪・明治大に進学。昨年は3年生ながらエースNo.10をつけて大学3冠に貢献した。

昌平初の選手権10番和田が悲願のJ入り。町田ブライトも1年越しでJ2岐阜へ

最後に大卒1年目ではないものの、夢を追い続け、それを実現させた選手たちを紹介したい。

J3のY.S.C.C.横浜でプロとなったMF和田幹大は、昌平高が初の全国選手権に出場した代の10番だった。卒業後は新潟医療福祉大に進学。大卒プロ入りは叶わなかったが、YS横浜セカンドを経て、昨年12月末にトップチームへの昇格が決まった。昌平高出身6人目のJリーガーだ。

またFW町田ブライトも1年越しで夢を叶えた。河合竜二(元札幌)や長谷川アーリアジャスール(名古屋)、関根貴大(浦和)らを輩出した鶴ヶ島の出身。類いまれなるフィジカルを生かし東京国際大2年時には関東2部で得点王を獲得した。大学4年時の一昨年は岐阜の練習に参加していたものの契約には至らずにいたが、北信越1部リーグのJAPANサッカーカレッジを経て、1年越しの入団が叶った。埼玉のフィジカルモンスターの活躍が楽しみだ。

卒業進路

進路先ポジション名前経歴
FC東京MF紺野和也

吉川ホワイトシャーク→C.A.ALEGRE→武南高→法政大
カターレ富山
FW松澤彰
浦和ユース→法政大
福島ユナイテッドFC
MF橋本陸
上福岡少年少女SC→坂戸ディプロマッツFC→西武台高→法政大
松本山雅FC
DF三ツ田啓希
レアル狭山Jr.→Forza'02→西武文理高→中央大
ツエーゲン金沢
FW加藤陸次樹
江南南SS→クマガヤSC→広島ユース→中央大
ヴァンフォーレ甲府
DF中塩大貴
加治SSS→江南南SS→浦和Jrユース→浦和ユース→立正大
FC琉球
FW人見拓哉
埼玉FC→AS栃木bom de bola大田原→AS栃木bom de bola→矢板中央高→立正大
SC相模原
MF鹿沼直生
大宮三橋FCJ→NEOS FC→GRANDE FC→静岡学園高→専修大
横浜FM
GKオビ・パウエル・オビンナ
東大宮コスモスSSS→大宮U12→JFAアカデミー福島U-15→JFAアカデミー福島U-18→流通経済大
水戸ホーリーホック
MF松崎快
川越ひまわりSC→大宮U15→大宮U18→東洋大
コンサドーレ札幌
MF金子拓郎
小川SSS→クマガヤSC→前橋育英高→日本大
ロアッソ熊本
FW髙橋利樹
大宮南ウイングス→HANF.C→埼玉栄高→国士舘大
SC相模原
MF上野賢人
東京国際大
FC刈谷
FW酒井信磨
東京国際大
品川CC横浜
DF小木曽佑太
浦和Jrユース→浦和ユース→東京国際大
品川CC横浜
DF東岡信幸
東京国際大
Western Pride FC(豪3部)
FW平山勇太
SS CANTERA→武蔵越生高→東京国際大
いわてグルージャ盛岡
DF原山海里
上尾大石SSS→クマガヤSC→青森山田高→東京学芸大
横浜FC
MF松尾佑介
戸塚FCJ→浦和Jrユース→浦和ユース→仙台大
いわきFC
MF山口大輝
武蔵野FC→FCカーニョ→西武台高→流通経済大
Bellambi FC(豪Illawarra Premier League1部)
DF一宮憲太
平成国際大
松江シティFC
DF木村皓亮
行田ペガサスSSS→クマガヤSC→佐野日台高→東海大
さいたまSC
MF
泉澤樹
東京国際大
さいたまSC
MF三浦碩仁
戸木南ボンバーズ→文京学院大学女子中→文京学院大学女子高→東京国際大
北海道コンサドーレ札幌(※2021年加入内定)
FW小柏剛
大宮U15→大宮U18→明治大
【番外編】
Y.S.C.C.横浜
MF和田幹大
昌平高→新潟医療福祉大→FOURWINDS FC→YS横浜セカンド
FC岐阜
FW町田ブライト
鶴ヶ島サザンキッカーズ→鶴ヶ島南中→成立学園高→東京国際大→JAPANサッカーカレッジ
FK Drezga(モンテネグロ2部)
MF中澤史伝
富士見クラブ→JOGADOR→静岡学園高→国士舘大→就職
St.georges FC(マルタ2部)
MF/FW
瓜谷紫
大牧SSS→GRANDE FC→尾間木中→南稜高→さいたまSC
Y.S.C.C.横浜
FW音泉翔眞
東京国際大→東京23FC
UNIVERSIDAD CATOLICA(チリ1部※期限付き移籍)
MFバスケス・バイロン
新明SSS→東松山ペレーニアFCJ→青森山田高→いわきFC

石黒登(取材・文)