初の全国大会出場「ひとつでも上のチームを下克上で倒していければ」福田博之(東松山ペレーニア U-15担当)インタビュー

8月15日開幕の第33回日本クラブユース選手権(U-15)大会で、クラブとして初の全国大会出場を果たす東松山ペレーニア。県リーグ所属のチームはいかにして全国行きを決めたのか。U-15チームを指導する福田博之コーチに関東大会でのこと、そして全国へ挑む意気込みを訊いた。

――全国大会出場おめでとうございます。

ありがとうございます。

――クラブユースに関しては今回が関東初勝利だったそうですね。

はい。なかなか県リーグもうまくいっていなかったので、当初の予定はまず関東に出られるように頑張ろうという話を子供たちにはしていて、なんとか苦しみながらだったんですけど上がれたので、じゃあ今度は関東でうちのクラブができていない「1勝」を目標にやろうとスタートしたのが関東大会でした。

――今年の世代の感触としては?

県リーグで勝てていなかったからだとは思うんですけど、ちょっとチームがうまくいっていなかったですね。チームがひとつになれないというか。常日頃言っているのは相手を思いやってプレーすること。仲間を助け、助けられてのフォアザチームじゃないですけど、それがなかなか子供の中で理解はしているんでしょうけど表現できなかったりとか。

――代表決定から関東大会までの準備の感覚はいかがでしたか?

良い準備ができたかどうかはわからないですけど、とにかく子供たちには与えられる情報は与えました。相手の情報もそうだし、あとは自分たちの強みっていうところもそうだし。もうオープンにお互い情報交換って言ったら変ですけど。

あとは関東に入る前に県リーグが1試合あったんですよ。コルージャとやって、前期はぎりぎり引き分けたんですけど、そこで勝てたので自信を掴んだのかもしれないですね。子供たちがこれでいいんだなと、いままで半信半疑でやっていたものをちゃんと捉えてやるようになって関東に入れたので、その1勝はかなり大きかったかなと思います。

――そんな中で関東大会1回戦のウイングスSC戦を迎えました。

立ち上がりのところはちょっと慣れるまで時間がかかりましたね。でもそこでやっぱり失点しなかったのが大きかったと思います。最初の5分くらいを見たら何点取られるんだろうみたいな感じでしたね。うちの選手は関東の舞台でちょっと縮こまっていたのもあるだろうし、だんだん時間が経つにつれてスピードにも慣れ、相手に慣れてきて。

ゴールは結果的に意図的に入ったものではないと思うんですけど、後半の引水タイムの直後で相手よりも集中力が長けていたという部分はあったと思います。

得点後もきつかったですね。最後のワンプレーは相手のシュートがポストに当たって外に出て試合終了だったので。でもこの子たちがこの舞台でこんな頑張れるんだなっていうのは、子供の力ってすごいんだなとはこの試合を終えて思いましたね。

――2回戦はクラブ・ドラゴンズ柏が相手でした。

もう子供たちにははっきり言わせてもらったんですけど、「本当に申し訳ないけど、お前たちがどうのこうのじゃなくて、俺も3年前のリベンジだから」って言ったんですよ。(バスケス・)バイロン(ペレーニアOB、青森山田3年)たちがクラブユースの1回戦で0ー3でやられていたんですよ。「もう本当にこの試合だけは負けたくない」と。先輩たちの思いも背負っているし、実際にいまの高3の子たちも連絡をくれたりして。

ゲーム自体はもう立ち上がり1分くらいでうちが1点取ったんですよ。1点取られても同点だのでそんなに慌てることもなかったんですけど、ちょっと予想していた以上に相手がうまかったです。特に前半はうまく対応できない時間帯が長かったので1ー1で越えて良かったなという感じでしたね。2点、3点取られていても本当におかしくないような展開でした。

もう一回頭の中を整理させてやったんですけど、相手の2点目がうますぎた。これは止まんないなっていうコントロールショットで。しかもその子は埼玉の子なんですよね(笑)。本当に1ー2になったときは、このゲームはちょっと正直厳しいかなと思いました。

でもまだ時間はあったのでフレッシュな選手を入れて、ちょっと相手が嫌がるように戦わせようと思って。もうかっこいい、かっこ悪いの問題じゃないなと。

途中からだいぶ盛り返してきて、決定機の直前まではいっていたんですよね。追いつけない、追いつけないというところからコーナーを取れて、キーパーが弾いたところを決めたんですよね。ちょっとあれは劇的でしたね。

――PKもかなり長引きました。(最終的には9ー8)

11人全員蹴りましたね。もう本当に良い経験をさせてもらっています。

――そこでひとつ16を決めて安心感みたいなのはありましたか?

出ましたね。でもいけるじゃんとは思わなかったです。もうベスト16の面子を見たらうちが一番下だなって正直思いました。

――そこからの全敗もあるなと。

16分の15に入れない確率は相当高いなって。ただインターシティには出られるからいいかと(笑)。そんな感じです。そもそも正直全国なんて考えてなかったので。ただ関東で1勝したいっていう目標だったのに、自分も欲が出てしまった。だから最後のWings U-15戦の前に子供たちに謝りました。「当初は関東で1勝できるように頑張ろうとか言っていたのに2勝しちゃったもんだからあと一個勝てば全国だぞみたいな、変なプレッシャーかけちゃったよね」と言って。でもそれを気付けるのが3敗したあとだったので、それも申し訳なかったなと。

――その後、チームは3連敗。

結果もそうですけど、日程が苦しかったですね。6月30日の東京ガス深川グラウンドで3時半キックオフ(FORZA’02戦)だったんですよ。それでその次の日が多摩の南豊ヶ丘フィールドで12時半キックオフ(FC東京深川戦)。FORZA’02に負けた日は東松山に8時、9時過ぎに着いて、次の日も7時くらいに出ているので、日程的にきつかったですね。

深川はもう完全に力負けなんですけど、前半はある程度勝負できたと思います。相手のシュートミスとか、うちのキーパーやディフェンスが頑張ったのもありますけど、うまく対応できていたんですよね。でもちょっとやっぱり後半集中力がパタっと切れちゃって、1個取られてからはもう防戦一方でした。やっぱり深川はうまかったです。

――2回勝ち進んでからの2連敗。メンタル的にも苦しい1週間を送ったのでは?

そうですね。でも俺はラッキーな部分が大きいなと思って。だって普通2敗して3試合目はできないでしょと。昔リーグ戦だって3試合しかできなかったのに5試合もできているって相当良い経験だよねと。子供たちにはネガティブな言葉は言わないようにしました。和ませるって言ったら変ですけど、あまり過度にプレッシャーを感じてほしくないなと思いながらも、やっぱり1個勝てば全国なので俺も多分プレッシャーをかけていたんでしょうね。

――横浜Fマリノス追浜戦はいかがでしたか?

追浜は正直これはいけるかなとちょっと思いましたけど、やっぱり相手の方が上手でしたね。最初はうまく噛み合わなかったので、ひとりひとりの役割を明確にさせて、もう1対1で対応させるようにしたんですよね。そうしたら相手がちょっとうまいかなくなってきた。あとはボールを奪ってからどう崩していくかという部分にフォーカスすればよかったので、ゲームの流れは非常に落ち着いて見れていたんですけど、逆にそこが甘かったのか崩せなかったです。後半の途中で1点取られて、もう2点目も3点目も取られても一緒だから後ろを3枚にして、前にひとり上げて、それでも入らないから最後は2バックにしました。そうしたらアディショナルで取られました(笑)。でももう覚悟を決めてやらなくちゃいけなかったので。

――そういった中で最後、第15代表決定戦を迎えるわけですが。

Wings U-15戦はさっきも言った通り、まず朝イチのミーティングで子供に謝りました。6試合もやって本当にお前ら偉いと思うよと話をしながら、ただどうしてもやっぱりこれに勝つと全国、負けるとインターシティという戦いだから誰がどう考えても緊迫したゲームになるだろうけど、俺がやってほしいのはやっぱり自分たちらしくやってほしい、もっと言えば好きなサッカーをやっていて多分この関東の5試合やって楽しいと思えなかったでしょと。嬉しいとかはあっただろうし、勝って良かったなとは思うだろうけど、試合をやって楽しかったなとかっていう喜びは多分あんまりないよねと。こういうゲームだけどサッカーを始めて、ただ単純にボールを蹴って楽しかったような、その頃のような笑顔が出てくれるといいよねって。

それで負けたら負けたで俺が謝るからいいよと。そのくらいちょっと肩の力を抜いて今日の80分を戦ってくれと話をしました。あとはうまくいかなかったらベンチでいろいろ考えて、ない頭を絞ってやるからって言って(笑)。思い切ってやりなさいという話を、特にその試合に関してはメインにしましたかね。本当に前日の夜に反省したんですよ。この大会に入る前に全国なんて言ってなかったなって。知らず知らずにプレッシャーをかけていたのはこっちの方で、それをちょっと片意地張ってやらせしまっていたなというのがあったので。

――言葉掛けもあって肩の力が抜けて入れましたか?

肩の力を抜いて入ったので立ち上がり1分で取られました(笑)。でもそうやって選手たちに言ったからなのか、なんとも思わないと言ったら変ですけど、あと79分あるから落ち着いてやれよと。ただやっぱりうまくいかなかった部分があったので一個ポジションを替えたんですよね。そうしたらちょうど替えたところから崩せて、開始10分くらいで追いつけたんですよ。

――開始11分で1ー1。その後の試合の流れ的にはいかがでしたか?

6対4で相手じゃないですかね。でももう関東の舞台で持たれることに子供たちはあまり苦痛を感じてなかったので。どちらかというと自分は中1、中2でこちらが主導権を握ってやるようなサッカーを求めていたので、最初はやっぱり持たれることに子供たちはすごい抵抗がというか、慌てるようなところがありました。

でも関東の舞台を踏んでからストレスに感じなくなってきたのもプラスに働いたのかなとは思います。ただやっぱりミスマッチなところも多かったので人を代えるというよりも、その子たちに対して修正をかけてやっていたんですけど、どうしても埋まらなかった部分が大きかったですね。やっぱり後ろが踏ん張れたのが大きかったと思います。

それで最後、延長の前半が終わった瞬間にフォーメーションを4ー2ー3ー1から4ー3ー1ー2に変えたんですよ。もうPKが嫌だったので(笑)。勝負に出ろと、取られてもいいから点を取りに行けって。だいぶ相手も足が止まってきていたのでちょっとスピードのある選手を前において。1トップだとやっぱり相手の4バックもポゼッション的なことはうまいので追いきれなかったんですよね。なので2トップでちょっと前から縦に早くやりなさいっていう話をしました。そうしたら延長後半3分に取ったんですよ。マイアミの奇跡みたいなゴール。キーパーとディフェンスが交錯して、うちの選手が押し込んで。

――マイアミの奇跡ならぬ前橋の奇跡(笑)。

そうなんです(笑)。

――全国を決めた時はいかがでしたか?

いやぁ、正直嬉しかったですよ。でも不思議でしたね。本当に思ってもみなかったので。逆にその前のバイロンとかの学年の方が力はあったし、その子たちが高円のクラブユースも2回出て1点も取れなかった関東大会でこの子たちがあっけなく2回勝って、3敗はしましたけど、最後勝ってというのには子供たちの底なしの力は感じましたね。

――大会を通してチームとしてまとまってきた部分もあるのでしょうか?

関東が始まってからよくわからない円陣をやり始めたり(笑)。グラウンドにいるみんなが「えっ、何が始まるの」みたいな、他のチームの指導者や選手の保護者が「ペレーニア何が始まったの?」っていうくらいの円陣をやり始めて。でもそういう雰囲気も出てきて、尚且つ、試合出ている選手のために出てない子たちも何かしてあげようという想いも出てきたり。

関東ではメンバー外の子にビデオを撮ってもらっていたんですけど、ドラゴンズに勝った時なんかも撮っている子がもう感動しちゃって、「俺たちが勝った! 俺たちが勝ったんだぞ!」っていう言葉が入っていたんですよ。全国が決まった時もやっぱりベンチに入れなくて応援している子たちが喜んで泣いていたりだとか。もうそれ見て「あぁ、よかったな」って。ちょっとずつこうやってチームとしてまとまってきて、だからこの結果なんだろうなっていうのは感じましたね。出ているやつは出てないやつのためにもとか、なんかちょっと言葉的には臭いですけど、でもそういうのがやっぱり大事じゃないですか。

いろいろな人の協力があってそこの舞台に立てている。それを散々言ってきたけどなかなか理解できなかった子たちがやっとこの舞台で、こういう経験をさせてもらって少しずつわかってきてくれているのかなっていうのは感じます。

――最後に初の全国に向けて意気込みをお願いします。

関東の時も子供たちには言ったんですけど、もう関東でもうちは下の方だったと思っていたので、もう一戦一戦本当にしっかりと戦って、ひとつでも上のチームを下克上で倒していければと思っています。あとは子供たちがそれを経験して、チームの成績もそうですけど、選手としていろいろな意味で成長して欲しいですね。

グループステージは三菱養和巣鴨、ディアブロッサ高田、パテオ FC金沢と同じグループCに。大会初日の15日は午後0時20分から帯広の森球技場にてディアブロッサ高田と対戦する。

石黒登(取材・文)

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