[S1]武蔵越生MF中嶋修斗、苦しんだ主将が決勝弾! 怪我で前期は離脱…「最後チームに何か還元できるか」考え、後輩たちに“残留”の贈り物

西武台Ⅱとのアウェイゲームに臨んだ武蔵越生は1-0で勝利し、1部残留を確定。後半17分、均衡を破ったのは怪我で半年近く苦しみ続けたキャプテンの右MF中嶋修斗(3年)だった。
プレーの流れで左サイドにいた中嶋は「相手のキーパーとディフェンスラインがミスるっていうのは感覚でわかった。常にミスった時に狙えるポジション取りをしていた」と相手守備の連携ミスをさらい、利き足と逆足の左足で流し込んでゲット。そしてこれが決勝ゴールとなった。
「やっぱり怪我で苦しんだ1年で、いままでチームに迷惑かけた分、自分が最後チームに何か還元できるのって考えた時に、結果で示すことが大事だと思った。残留がかかってる一戦っていうのはわかっていた中で、自分が結果を残したい想いが強かったので、点を取れて良かったです」
そう語った表情には、勝負を決めた手応えと安堵がにじんだ。昨年から主力としてプレーし、今年はキャプテンを託された中嶋。しかし、1月に右大腿直筋を筋断裂。新人戦の西部支部準決勝・細田学園戦は「どうしても出たかった」と無理を押して出場し、ゴールも記録したが、その代償は大きく悪化。復帰までには4ヶ月を要し、前期はほとんど試合に出ることができなかった。
復帰後はアシストという形で貢献する場面はあったものの、ゴールは細田学園戦以来遠ざかっていた。その中での今季2点目に「もう最高だった」。首位チームに対し、シュート3本と苦しい試合だった中で「キャプテンっていうのもありますし、やっぱり今日の試合とか後ろが結構キツいと思いますし、前が結果を残さないと」と責任感を持って臨み、ゴールに結びつけた。
また、守備でも逆サイドの裏まで走るなど奮闘。「あそこを行かないと自分のいままでの経験とか感覚でやられるなって。少しでも自分が走って、相手を遅らせて、みんなが戻ってこれるような時間を作るのが大事だなと思ったので、そこはもうスプリントしてボールに行きました」。攻守で先頭に立って走り続けたキャプテンの姿がチームに良い影響をもたらしたのは間違いない。
今年は新人戦でベスト4に入るも、その後はトーナメントで結果を残すことができず。後期リーグ戦も苦しんでいただけに「せめてS1残留っていう形で、後輩たちに贈り物を届けられたらっていう想いだったので、残留決定できて良かったです」と後輩たちに県1部の舞台を残した。
選手権予選は3回戦で成徳深谷に敗退。「自分は去年から出ていて、今年はここ最近のムサオゴでも結構良い代と言われていたので、ベスト4くらい行きたかったですけど負けちゃって。自分はフルで出たんですけど、やっぱり相手の力強さに負けてしまって、悔しい結果で終わったので、その悔しい想いっていうのはまた大学でも自分はやるので、そこで頑張りたいと思います」。想いは後輩たちに託し、高校年代で味わった悔しさを糧にして新たなステージでの飛躍を誓った。
石黒登(取材・文)


