[選手権]成徳深谷GK本田一朗、今季公式戦の負けはわずかに「1」。“持っている”守護神が無失点勝利に貢献

為谷洋介監督も「やっぱりなんか持ってるんですよ」と話す守護神がこの日もゴールを死守した。成徳深谷GK本田一朗(3年)は後半、為谷監督も「やられたな」という決定的なシュートを阻止しチームを救うセーブ。指揮官も信頼を寄せる“勝負強さ”をこの日も発揮し、勝利に導いた。

「自分にできることを正確に、失点しないためにプレーしようと思っていました」。強力アタッカー陣を揃える武蔵越生に対し、ピンチになる前の守備やディフェンスラインと常にコミュニケーションを取りながら準備。その上で相手の抜け出しに対してもしっかりアタックしていた。

後半は相手が圧力を強めてくる中で19分にエースFWとの1対1を防ぐと、終盤には左CKから相手CBにヘディングで合わされたシーンは決定的だったが、「最初上がった瞬間に「もう出れないな」と思ったら、クリアの声掛けをして、シュート対応をしっかり気にして、立ち位置を修正してプレーできたかなと思います」と冷静に反応してはじき出し、無失点勝利に貢献した。

為谷監督も「(相手の決定機は)ああー、抜かれたなと思って。でも、よく我慢してくれた。サイズ感はないですけど、やっぱりなんか持ってるんですよ。そういうのはすごく感じるし、そういう勝負感はある」と話す勝負強さの持ち主。実際、今年はリーグ、トーナメントを含め、本田が出場した試合で負けたのは総体予選準々決勝の西武台戦の1敗のみと高い勝率を誇っている。

本田も「やっぱりそこに対しては自分も自信があるし、自分が失点しなければ負けないっていうので、モチベーション高く持っている」と話す。普段はあまり緊張しないというが、3年ぶりの選手権8強入りを掛けた試合では少しプレッシャーを感じる場面も。それでも「そのプレッシャーを楽しんでプレーできたのかなと思います」と重圧を逆に力に代えて好守でチームを支えた。

ブラジル人の父は母国でCBとしてプレー。「ずっと小っちゃい頃も厳しく教わっていたし、いまでも「こういうところ修正しよう」「こういうところよかった」とか話してくれる」存在だ。憧れの選手は父の母国・ブラジル代表GKエデルソンと元スペイン代表GKカシージャス。「エデルソンはキックが上手いっていうところで真似したいと思うし、カシージャスは身長自分が小っちゃいし(174cm)、カシージャスも決してでかくはないので(184cm)、そこのところでフットワークでセーブしたり、見習うところが多いなと思っていて、その2人が好きですね」と話す。

次戦からはいよいよスタジアム決戦に入るが、「いままでやってきたことを出すだけ」と語る。準々決勝の行われる駒場スタジアムは今年3戦3勝と相性の良い舞台。「駒場は良いイメージがある。無失点で自分のプレーを全部、100%出せるように、しっかり1週間良い準備して臨みたいと思います」。成徳深谷の“持っている”守護神は、再びチームを勝利へ導く準備を整えている。

石黒登(取材・文)