[総体]昌平MF佐伯優斗、Bチーム落ち経験も決意の坊主で心機一転。ボールに関わり続け先制ゴールの起点にも
「ボールに関わるプレーは結構好き。自分の味をちょっとは出せたかなと思います」。昨夏の日本一・昌平は県予選“初戦”となった準々決勝の川口市立戦で4発快勝。右MFとしてスタメンした佐伯優斗(3年)は多くボールに関わりながら自らもゴールに迫り、1点目の起点にもなった。
「結構ボールを回せるので、ゴールに関わるプレーとか、ゴールへの中継役として、中継プレーをやっていこうと思って頑張りました」という佐伯は、前半から多くのシーンで顔を出してボールを受け、そこからのパスや自らもワンツーなどでゴール前に入っていくプレーも見せていた。
17分には中盤でボールを持つと、「右SBの愛斗と結構連携が取れて、愛斗が走ってくれて、行くしかないなと思って」。ひとつ持ち出し、右サイドを駆け上がったDF安藤愛斗(3年)にキーとなる絶妙な縦パスを供給。安藤のクロスからMF長璃喜(3年)の先制ゴールに繋がった。
この日は久しぶりの試合だったという中で「1試合を通してフルで出られたのが嬉しかったです」と勝利に貢献した佐伯に対し、芦田徹監督も「ボールに関わるのが彼の良さなので、そこはすごくナチュラルに、力が抜けて、よく関わっていた。良い働きをしたと思います」と評価した。
今年はプレミアEAST第7節の鹿島戦で76分から出場したが、普段はS1を主戦場にしている選手。しかし、そのS1でも序盤はなかなか実力を出すことができず、Bチーム落ちも経験した。
「春先とかは調子が悪くて。思い切って坊主にしたんです」。開幕戦の翌週には髪を剃り、気持ちを一新。するとそこから流れが変わった。「自分にとっては、そこからもう一回頑張ろうという覚悟の表れでした」。ちなみに佐伯を発端とする“坊主ブーム”はその後、チームメイトの長やMF山口豪太(3年)などにも波及するなど、昌平の中でちょっとしたムーブメントにもなった。
また、「自分は守備が課題だったんですけど、めっちゃ自分から声を出して頑張れるようになって、そこから守備も頑張れて、攻撃に繋げたり、ゴールに関わるプレーも増やすことができた」と課題の守備に意識して取り組んだことでより攻撃の良さが出せるようになったという。5月には再昇格。今週は山口が体調不良だった中で掴み取ったチャンスでしっかりアピールした。
神奈川県のクラブテアトロJYの出身で、中学の頃にFC LAVIDAと練習試合をした際に声を掛けられる形で昌平へ。一方で昨年はここからという4月に股関節を故障し、入院。復帰したのが10月と約半年間の離脱を強いられただけに、本人にとっても今年は、という想いは強いだろう。
2列目は激戦ポジションだが、「ボールを持った時はもちろんそうですけど、ボールを持っていない時の立ち位置だったり、動き出しだったり、そういうところを見て欲しいです」という佐伯は「もっと自分で自分でって、自分がこのチームを作っていけるように頑張りたい」と強い想いも。まずはこの大会の中でも与えられたチャンスをしっかりと掴み、レギュラー奪取を目指す。
石黒登(取材・文)