市立浦和FW大前海斗、期待の1年生タレントが値千金の2発! 昨年は将来の代表候補生が集うU-18フットサルトレセンにも参加した有望株

期待の1年生タレントが躍動して2ゴール。市立浦和FW大前海斗(1年)は0-2で迎えた前半33分にヘディングで反撃の口火を切るゴールを挙げると、後半開始直後にはゴール前の混戦を決めきり劇的な同点弾。敗退の危機にあったチームを救い、その後のPK戦勝利に繋げた。

2大会連続のスタジアム進出を目指す市立浦和は2回戦で同じS1勢の武蔵越生と対戦。しかし、チームは4分、17分と失点し、いきなりピンチに陥る。それでもシステム変更後は中盤でボールを拾う回数を増やし徐々にゴールに迫る形も。そして前線で存在感を放ったのが大前だった。

「やっぱり0対2だと後半が苦しくなるので」。流れを引き寄せる1発を狙っていたという大前は33分、右SHの嶋田秀太朗(2年)とアイコンタクトを交わすと相手の背後を回りながらファーサイドへ。「ドンピシャだった」というクロスをしっかりと叩いて前半のうちに1点を返す。

さらに後半1分には同点弾を奪う。嶋田のクロスからMF横井葵(3年)のシュートのこぼれにいち早く反応。「シュートを決めて『自分が勝負を決めるんだ!』っていう気持ちで、早くシュートを打つことを意識しました」。倒れ込みながら右足でゲットし値千金の同点ゴール。1点差で相手が守りを固めてくる状況も予想できただけにこの立ち上がり早々のゴールは大きかった。

また、「自分のチームの役目としては、自分は一番頂点で、そこで1回ボールが収まるか収まらないかっていうのは本当に重要なことなので、まずはしっかり試合に入って、自分で収めて、やっぱりサイドへの散らしとか自分で行くとか、攻撃の起点になれるように意識しました」というFWはボールの収まりどころとしても存在感。164cmと決して大柄ではないが、上級生相手にも後半は局面で競り勝ちながらチームのアタックを引き出し、武蔵越生撃破の原動力となった。

中学時代はサッカーとフットサルの二刀流でプレー。昨夏はさいたま市立美園中の10番をつけ、県学校総体でベスト8入りに貢献。秋は今度はFFCエストレーラ川口U-15の一員として「JFA第29回全日本U-15フットサル選手権 埼玉県予選」で優勝。関東大会への出場権を獲得した。

また、県予選後には「JFA U-18フットサルタレント育成普及事業」のメンバー19名にも選出。これは「将来、フットサル日本代表でプレーする可能性を秘めた18歳以下の選手に参加してもらい、フットサル日本代表や年代別代表でプレーする選手のようなトップアスリートの基準(プレー強度やピッチ内外の習慣)に触れ、今後の選手生活の新しい習慣へのヒントを見つけ、所属チームに戻ってからも更に研鑽してもらうことを目標」とし2022年から立ち上がった活動で、高円宮記念JFA夢フィールドで2日間にわたり合宿。高いレベルを経験し、「食生活だったり、本当にプロの意識というか、自分の常識が変わったみたいな、良い経験になりました」と話す。

この日は2得点の活躍だったが、「自分としてはあと2、3回くらいチャンスがあったと思うので、そこを決め切れていないっていうのはまだ自分の課題なのかなと思います」。前後半ともにあと1本ずつ決定機があっただけにそこは反省点。「(3回戦の)正智深谷戦は決定機は本当に2回あるかわからないので、その限られた1本でもしっかりと決めきりたい。自分のストロングポイントを生かして貢献したい」と話す1年生FWが3試合連続弾でチームをスタジアムに導く。

石黒登(取材・文)