昌平DF上原悠都、2年ぶりの夏の全国初戦でチームを救う決勝弾「インハイは持ってるんです」 怪我に泣いた昨年のリベンジ期すSB

「インハイは持ってるんです」と話す、サイドバックが得意のヘディングで決勝ゴール。昌平の左SB上原悠都(3年)が2年ぶりの夏の全国大会初戦で再びゴールを記録し、チームを救った。

チームは危機に瀕していた。1回戦の尽誠学園(香川)戦、昌平は前半10分、10番山口豪太(2年)の演出からMF岩谷勇仁(3年)が全国初ゴール。しかし、その後は攻め続けながらも追加点を挙げられずにいると、後半15分にフリーキックから失点。同点に追いつかれてしまう。

勢いに乗る相手に対し、チームには少し焦りも。上原も「同点に追いつかれてから、自分の中でもちょっと焦っていて、ボールを捨てちゃったりとかしていた」と話すが、「自分が活躍できる場面は、点を取れる場面はコーナーしかないので、そこで取ってやろうという気持ちがあった」。

その場面が訪れたのが33分だ。昌平はFW鄭志錫(3年)が右サイドでコーナーキックを獲得。キッカーには山口が立つ。「ボールの来るイメージはできていて、来てくれたら取れるよっていう感じでいたので、豪太がめっちゃ綺麗に蹴ってくれて、綺麗に自分のところに来たので、あとは触って、枠に入ってくれたらっていう気持ちで押し込んで、結果的に入って嬉しかったです」

山口のインスイングにニアスポットに入り込み、高い打点で合わせた決勝ヘッド。「ニア狙いはずっと自分の中で狙ってます」。練習からニア気味のボールを練習。合わない場面も結構あったと話すが、それでも常にニアに入り続け、その瞬間を待ち続けたからこそ生まれたゴールだった。

ちなみに上原は2年前のインターハイにも1年生ながらスタメン出場し、1回戦の奈良・生駒戦でコーナーキックから先制ゴール。今年の県予選もファーストゴールも背番号3だった。「インハイは持ってるんです」と話す上原は「選手権は取れないけど、インハイは取れる感覚で自分でいるので。エゴを出し切らないように、取れればいいなっていう気持ちでは常にいます」と話す。

インターハイ前最後の公式戦となったプレミアEAST第11節・FC東京U-18戦では後半17分にヘディングで奪って勝ち越しに成功するも、その直後に失点。決勝ゴールとはならなかった。

「F東戦はその直後に追いつかれたので、2-1になってからのチームとしても、個人としても、すぐに失点しないっていう気持ちはより一層強かったのかなと思います。そこでしっかり守って勝ち切れたのは一個成長できたところ」。この日は前半に相手の決定機に足を伸ばしてシュートブロック。相手のカウンターを遅らせ、終盤もしっかりと集中して守り切り守備でも貢献した。

昌平では1年次からレギュラーを務め、U-16日本代表にも選ばれた逸材SBは昨年、シーズンはじめのU-17日本高校選抜の活動で左膝前十字靭帯を負傷。ほぼ1年を棒に振る形となった。

昨冬の選手権で本格復帰したが、「選手権っていう舞台に立たせてもらって、そこで何もできなかったと思っていて。やっぱりそれがその1年で開いた差なのか、その間に自分がリハビリを頑張れなかった差なのか、昌平の中でもそうですし、ほかのチームの人たちもそうですし、その差を感じて。今年は怪我をしないっていう部分だったりもそうですし、去年、一昨年と自分ができていない攻撃面だったり、自分の学年になってより貢献してっていう部分は、インターハイも選手権もリーグ戦の中でもずっと見せていけたらなと思う」と大会前にはその心情を話していた。

「夏は暑いのはみんな一緒なんですけど、その中で自分が持久面だったりで走れるぞっていうのを、後半の終わりの方になってもオーバーラップをガンガンできるっていうのはしっかり見せていきたいですし、体力がなくなってきても攻守で高い貢献度を持ってチームを勝たせられるような選手っていう認識をみんなに持ってもらえるようにしたい」と語る運動豊富なサイドバックが得意の守備に、今年磨いてきた攻撃に貢献しながら、チームとともに頂点に駆け上がる。

石黒登(取材・文)