昌平MF大谷湊斗、チームの“心臓” 逆足のコントロールショットで今大会初ゴールもゲット

玉田圭司監督も「(チームの)心臓ですよね」と話す、昌平の“心臓”が準決勝でも輝きを放った。昌平は1-0で迎えた後半16分、中盤で持ったMF大谷湊斗(3年)主将が左足のミドルシュートで突き刺すゴラッソで追加点。これを皮切りに、その後も3得点を重ねて5-0と大勝した。

浦和学院戦、昌平は前半15,分、大谷の縦パスを起点にFW鄭志錫(3年)がポストプレーからスルーパス。これをMF三浦悠代(3年)が決めてこの日も幸先良く先制した。しかし、その後は引いて守ってくる相手に対し、なかなか勝負を決める追加点を奪い切ることができずにいた。

準決勝の細田学園戦では2アシストを決めたものの、「やっぱり評価してもらうためには得点が必要だと思うので、点にはこだわっていきたいですね」と話していた大谷も前半から積極的にゴール前に入り、20分にはフィードにバイシクル気味にシュート。これは惜しくも枠を捉えることができなかったが、「今日は2点目が入れば絶対にもうこっちのもんだっていうのは確信しているので、2点目が取れたのが大きかったと思います」という主将が一振りでゲームを動かす。

後半16分、中盤でボールを受けた大谷はドリブルで前進。この突破は相手ディフェンスに阻まれたが、そこから大きく切り返すと「自分は常にシュートする意識は持っているので。良いところに置けたので、コースにあとは流し込むだけでした」とコントロールショットで打ち抜いた。

こともなげに話すが、利き足ではなく“逆足”の左足。その逆足でここまでの精度のシュートを放つのだから恐ろしい。「基本自分両方蹴れるので。なんなら左の方がちょっとうまいくらいです(笑)」。また、NACK5スタジアム大宮は、初先発で決勝ゴールを記録しシンデレラボーイとなった一昨年の選手権予選決勝や、昨年の総体予選準決勝の浦和南戦でもゴールを決めており、「個人的にNACK5は結構相性が良くて」。今大会はまだノーゴールだっただけに「まだ点を取っていなかったので、今日は絶対に取りたいと思っていた。ホッとしました」と笑顔を見せた。

昨年のチームでもボランチで欠かせない存在だったが、今年は新システムでワンアンカーを務める中で中盤の底で昨年以上の存在感。玉田監督も「誰が見てもこの中でも特別な選手だと思うし、やっぱり状況が変えられるし、決定的なことをできる。依存するわけではないですけど、変えの利かない選手ではありますね」とし「(チームの)心臓ですよね」とその信頼を語っていた。

「浦学がやっぱりこの試合は引いてきた中で、みんなが自分にボールを集めてくれたので、そこからのチャンスメイクだったり、縦パス…。縦パスにやっぱり自分はこだわっているので、常にやっぱり前を見てプレーしているので、そんなプレーは今日出せたのかなと思います」(大谷)

20分にはMF長璃喜(2年)のゴールをアシスト。一方で「点が入りだしてから自分も触る回数が少なくなって、もっと自分自身ボールを触って、もっと攻撃の手を緩めずに、自分がもっと発信して、1点だけじゃなくて、2点、3点ととっていなかいといけない」と反省も口にした。

「今年はキャプテンもやらせてもらっていて、やっぱりもっと自分自身やらないといけないと思いますし、もっとほかの選手とはやっぱり違いも見せないといけない」と大谷。「(決勝でも)やっぱり点も取りたいですし、アシストだったり、チームが勝つことが最優先で、今日よりももっとボールに絡んで、もっともっと圧倒できるように、また練習から気合いを入れてやっていきたいです」。決勝でもチームの心臓として攻撃を牽引し、得意のNACK5で2試合連続弾を狙う。

石黒登(取材・文)