西武台GK松田聖也、「迷惑をかけていたので」守護神がPK戦で2本ストップ! チームに63日ぶりの勝利をもたらす

実に63日ぶりの勝利をもたらした。1-1で迎えたPK戦、西武台GK松田聖也(3年)は後攻の相手の1本目を足に当てて阻止すると、決められればサドンデスという5本目もストップ。「ここ最近リーグ戦でチームに迷惑をかけていたので、今日くらいは自分がチームを救えたらなという気持ちで臨んで、それが叶って良かったなと思います」という守護神が立役者となった。

プリンスリーグ関東2部所属の西武台は3回戦の武蔵越生戦が初戦。41分にFW竹内奏海(3年)のゴールで先制したが、後半にセットプレーから追いつかれ、勝負はPK戦にもつれ込んだ。

中断前最後のリーグ戦となった第6節の桐光学園戦では終盤のビッグセーブでチームの連敗を止めた松田だが、「あの時はよかったんですけど、その前までの節で、自分がミスで負けていたので、0-0じゃダメだなって思って、勝ちにやっぱり自分が貢献しなきゃ、いままでの分っていうのは取り返せない。これでもしリーグ戦にまた戻ってしまったらっていう考えた時に、やっぱり自分が1回どこかでチームを救っておかなきゃっていう気はしたので、PKになってもそこはそんなにプレッシャーっていうよりかは、やってやろうっていう気になりました」と話す。

1本目のストップは仲間のおかげだという。187cmの長身守護神は手を伸ばせばゴールを覆い隠してしまいそうな迫力がある。しかし、「結構自分PKは得意じゃなかったんです」。特に横に思い切って飛んだ際の太ももあたりに来るボールが「どうしても止められなかった」と語る。

弱点を克服すべく、仲間に蹴り込んでもらいながらPK練習。また、同じキーパーチームの岡島諒太(3年)、吉川修貴(3年)とともに前日まで「どう対応すべきだったか」を話し合い。「上の足を持ってきて、頑張って足で防ごうというのを話していたので、それがぴったり来たっていう感じです」。実際1本目はこれまで止められなかった太ももあたりのボールが来た中で左足を上に上げて狙い通りのストップをしてみせた松田は「(仲間たちに)感謝です」と笑顔を見せた。

その後再び同スコアとなり、これを決められればサドンデスという5本目。「あの1本はもう本当に正直自分でも何本目か覚えていなくて」と話すが、「サドンデスに行っても自分たちが先行だったので、仲間は絶対決めてくれるので、何本目であろうとも1本止めれば勝ちっていうのは自分の頭の中にあって、どこかで絶対1本止めてやろうっていう気はありました」。自分が止めればチームは負けない。その自信を持って再び右に飛んで勝利を決めるストップ。「もう1本あるのかなって思って、ちょっと喜ぶのか、一瞬迷ったんですけど、みんなが来た時に「あっ、終わったんだな」って」。仲間の祝福を浴びた守護神が、チームに63日ぶりの白星をもたらした。

FC東京U-15むさしの出身。中学からキーパーを始め、3年次にはサブだったものの、日本クラブユース選手権大会優勝を経験した。当時守護神を務めていたGK小林脩晃(帝京長岡3年)について以前、「やっぱり自分に火をつけてくれるというか、自分の一番の目標」と話していた。

「やっぱり小林がPKがうまかったので、あいつを見習おうと思って。インハイが始まる前に何本か小林選手が受けたPKを見てて、結構フォームとかは小林選手を真似してたんです。やっぱり、そうしたら力は貸してくれましたね。あいつが。帝京長岡がインハイ決まったので、そこでも自分も頑張んなきゃなって火はついたので、力は借りてるのかなっていう感じはしました」(松田)

小林の帝京長岡は一足早くインターハイ切符を獲得。常に自分の心に刺激を与え、火をつけてくれる存在と全国の舞台で今度は並び立ち、戦うためにも、西武台の守護神としてチームを支える。

石黒登(取材・文)