[高校女子]16年ぶり4強進出の埼玉栄 1大会で「2回負けられた」ことを糧に成長し秋へ

「(準決勝での)敗戦からの3位決定戦なので、気持ち的にどうなのかなっていうのもあったんですけど、でも本当にアグレッシブに前から前からっていうことで、選手たちはもう本当に死に物狂いでやってくれたので、得るものしかない試合だったのかなと思います」(村田雄監督)。

準決勝から中4日で迎えた花咲徳栄戦、埼玉栄は敗戦を引きずらず前半果敢なプレーを見せた。

「徳栄さんのディフェンスラインに攻撃的に足の速い選手がいるので、前に出てこさせないためにも押し込もうという雰囲気はちょっと持って。押し込む分、拾えないと苦しくなってしまうので中盤はもうとにかく足を動かして拾う。本当にその通りやってくれて、前半は特にハマった」(監督)。その中でMF土岐真琴(3年)の配球やMF田中ひより(3年)が抜け出して迫った。

後半は苦しい時間帯が続いたが、CB福田侑香(3年)が身体を張り、右SBの美馬陽音(3年)はチームのために走り抜いた。延長戦でも決着がつかず迎えたPK戦では2人が外し敗れたが、勝利していればディフェンスラインはMVP級のプレー。村田監督も「90分間走り抜いて、疲れているからPKで上に浮いちゃうところもあると思うので、頑張った結果ああなっちゃったのはしょうがない。ここまで来られたのは頑張りがあったからだと思います」と選手をねぎらった。

準々決勝では浦和西を下し、2008年以来実に16年ぶりとなる県ベスト4入り。「まず大会として2回負けられるのも3位決定戦に行くチームじゃないとできない。負けて得るものがあるっていうことは結構巷では言われていることですけど、1回の大会で2回負けられているので、得るものはいっぱいあるかなと思う。また次、苦しい大会になると思いますけど、次の糧になればなと思います」。今大会で唯一、「2回負けられた」ことをプラスに変えてこの夏の成長に繋げる。

石黒登(取材・文)