昌平MF中松陽太、プレミアでもSBの主戦有力なユーティリティがボランチで出色の動き

昌平は昨年、新人戦組からMF西嶋大翔、MF前田大樹(ともに3年)らがステップアップし、選手権の舞台でも活躍した。今年も個人昇格を目指し、各選手がアピール。中でも鈴木琢朗コーチも「ポテンシャルは間違いない」と話すMF中松陽太(2年)が攻守で存在感を放っていた。

「みんなのサポートをしつつ、ゲームの組み立てを中心にやっていけたかなと思います」(中松)

市立浦和戦はボランチとしてスタメン出場すると、サイドに散らしてゲームメイクしつつ、「フォワードとトップ下を見て、自分も行けるなら行くみたいな。相手を困らせようと思った」。前半17分にはゴール前に入り込み、スルーパスでFW中村公亮(2年)の先制点をアシストした。

その後もハードワークしながら起点となるパスやリズムを作るワンタッチパスで攻撃を牽引。37分にはセットプレーのこぼれ球にうまくターンし、自らゴールを狙っていくシーンもあった。

一方で前日、前々日とトップチームの練習試合にも出場しており、この日で3日間連続の試合出場。「僕が走れなかったからかなと思います」と苦笑いした後半はさすがに運動量が落ち、終盤は「足が吊りそうでした」と話すが、その中でも80分間ピッチに立ち続け、勝利に貢献した。

今季はプレミアリーグを戦うトップチームで、昨年からコンバートされたサイドバックで主戦を担うことが有力だ。「縦突破とか、ゲームを後ろから作ったり、点を取る、点を狙うっていうところは自分の武器」。リヴァプールのイングランド代表SBトレント・アレクサンダー・アーノルドのプレーを参考にしながら、成長中。一方で加藤大地コーチも「(今日のようなプレーができれば)ボランチもある」と話したように昌平の最激戦区でもプレーする実力は十分にある。

中松は大宮アルディージャの下部組織の出身。中1の頃には同年代の有力選手が集う「JFAエリートプログラムU-13 フューチャーキャンプメンバー」に選出された経験を持つ。大宮時代はフォワードと後ろ、左右両サイドハーフとさまざまなポジションを務めており、その頃からユーティリティ性があった。一方で成長が遅かったこともあり、あまり試合に絡むことができなかった。

昌平を選んだのは同じく大宮アカデミー出身で、同校で選手権ベスト8入りに大きく貢献したMF須藤直輝(鹿島)の存在が大きかったという。「須藤くんの代がすごくて、昌平に行きたいなと思いました」。同代の選手権はすべてテレビで観戦し、そこに立つ自分を思い浮かべていた。

今年は「インハイも、プレミアも、選手権も全部勝ちたい。そのためにも圧倒的な力をつけたい」と話すユーティリティプレーヤーがサイドバックでも、ボランチでもチームの勝利に貢献する。

石黒登(取材・文)