狭山ヶ丘FW栗原拳飛、4年後のプロ入りも見据える193cmの大型CFが高さ生かし2発!

サブキャラから主役へ。狭山ヶ丘は193cmの長身FW栗原拳飛(3年)が真価を見せた。

ラウンド16の埼玉栄戦は体調不良で主力の半数が抜ける中、「今日は最初から自分が決めようと思っていた」という。立ち上がりから高さを生かして起点となると前半5分、MF山本悠太(3年)主将のフリーキックに頭ひとつ飛び出すヘディングで抜け出し先制ゴールを挙げてみせた。

その後同点とされたが、迎えた後半17分、再びゴールネットを揺らしたのは23番だった。ロングスローをニアサイドで競り勝ち反らすと、ゴール前の混戦を「ボールが浮いていたんですけど、ちゃんと抑えながらかぶせて」打つことを意識してジャンプボレーで叩き込み、これが決勝弾となった。チームを勝たせる2得点に「やってやったぞ!という感じでした」と喜びを語った。

なんといっても193cmの長身がやはり目を引く。ガーナ人の父と日本人の母を持ち、ラグビーをしていたという兄も同じくらいの身長があるという。中学3年時にはすでに186cmあったという中で好物だと話す「お母さんが作るからあげ」を食べながら高校年代でも大きく成長。また、日々行っているという筋トレで上半身のパワーもアップ。この日も攻守両面での空中戦はもちろん、自信があるという胸トラからの収めるプレーやポストプレーでも存在感を放っていた。

加えて、転機となったのが、大学サッカーへの挑戦とポジション転向だ。もともと上でやるつもりはなかったが、GK若林学歩(大宮)を輩出した西澤正仁監督から「4年間しっかり大学でやってみて、お前だったらプロの道はその心境さえあれば可能性はあるんだ」と言われ大学サッカーでやることを決意。それに伴い、ポジションもセンターバックからフォワードに転向した。

「インハイまではどちらかというとサブキャラで選手としてもそうだった。でもここに来てあの高さをだんだんと自分でも自覚してきて、しっかりと受けることだったりとか、あとは相手が来ていても反らすことができたりというのが落ち着いてできるようになってきた。だんだん彼も本腰を入れてきて、プレーもそうだけど、勝負の場面で力強くいけるようになった」(監督)

栗原自身も「CBの時はそんなにサッカーが楽しいとは思わなかったですけど、FWになってから本当にサッカーが超楽しい。(将来はプロを視野に)入れてます」と力強く語る。

準決勝はインターハイ予選準優勝の浦和南だが、「去年も(選手権予選3回戦で)当たっていて、そこでは勝っているので、準々決勝でも自分のゴールで勝ちたい」と意気込み。相手も得意とするセットプレーや空中戦で競り勝ち、2試合連続のゴールでチームを初のベスト4に導く。

石黒登(取材・文)