技巧派から戦える選手へ 本庄第一MF小河巧夢は「ぶつかって、戦って、走って」存在感

「ぶつかって、戦って、走って」。11年ぶりに初戦を突破した本庄第一は、エースナンバー「8」を背負うMF小河巧夢(3年)が豊富な運動量と球際の強さを見せ、試合をコントロールした。

慶應志木戦は怪我で調整中のFW樋上大翔(3年)に代わってキャプテンマークを巻いてプレーすると、後半13分に左サイドで果敢に仕掛けてPKを獲得。「カットインからのシュートは狙っていきたいと思っている。PKのもらい方はすごい自分の中でも良かった」。自らスポットに立つと、右足のキック一度は防がれたが、こぼれ球をしっかりと詰めてチーム6得点目を決めた。

一方で前半、後半とそれぞれ決定機があっただけに「自分の中では不甲斐ない」とそれ以外のチャンスで決めきれなかったことを悔いていたが、攻守でよく走り、球際でファイトしてゲームをコントロール。「チームで一番ぶつかって、戦って、走って。フィジカル、スタミナはかなり高水準にある。個でも突破できるし、点も取れる」と大山真司監督も今年のチームのキーに挙げる。

小学、中学年代は個の育成を掲げるセレブロFCで足下の技術を磨いてきたこともあり、その部分では1年生から通用すると感じていたが、学年が上がり、2年生になると壁にぶち当たった。

「(2年生になると)身体で戦えない部分があって、自分のテクニックを出せないことが多かった。やっぱり土台として身体を作ったり、球際でしっかり戦うことを意識するようになりました」

負けない身体を作るために、筋トレや食トレを実施。特に相手との競り合いで身体を入れる際の腕回りは重点的に強化したという。「自分の代になるとなった時に、自分がやらなくちゃいけないという気持ちは強かった」。また、肉体を強化したことで「まず1回、自分のところで収めたりしてからボールを握ったりとか、すごい自分の中で幅が広がったかなと思います」と話す。

2回戦は上位の常連・細田学園が相手。「逆サイドのS2リーグで1位にいて、強いチームだと思いますが、自分たちはどんな時でもチャレンジャーなので、しっかり準備をして、自分たちの強さを出して勝ちたい」。「ぶつかって、戦って、走って」、戦う技巧派がチームを勝利に導く。

石黒登(取材・文)