立教新座MF粟屋大智、エースナンバー10背負う2年生レフティが自慢のキックで勝利を導く
「彼の能力を考えるとこんなものじゃないですけど、キックはやっぱり彼の特徴ではあるので、最終的に勝たせたのは彼の一振り、左足かなと思います」(前田和伸監督)。難しい初戦で輝きを放った左足。立教新座の2年生レフティ、MF粟屋大智は自慢の左足のキックで勝利に導いた。
花咲徳栄との選手権予選1回戦、立教新座は立ち上がり、相手のアップテンポなペースに合わせられる格好となってしまい、思うようにボールを握ってサッカーをできず。粟屋自身もなかなか足下にボールが収まらず、苦しんだ。それでもゲームの流れを引き寄せたのが左足のキックだ。
前半33分、エリア右外で受けると、「シュートが少ないなと思って。キーパーがちょっと前に立っているなという感じだったので、角は入るかなと思って見ていました」と左足をスイング。巻きながらゴールに向かったシュートはキーパーの伸ばした手を越えてネットに吸い込まれた。
後半は得意のキックでチャンスメイクする場面も。27分には意表を突いた直接フリーキックが枠を捉える。これはキーパーの手をわずかにかすめて、クロスバーに弾かれ自身2得点目とはならなかったが、こぼれ球をMF清水聖矢(3年)が振り抜いて決めるなど、ゴールに絡んだ。
フィニッシュに加え、精度の高い配球、決定機を生むクロスと左足は特別なものを持っている。「キックは帰る前に必ず自主練で磨いていて。左足で今後、生きていこうと思っているので、そこは意識しています」。同じレフティで高精度のキックから司令塔として、フィニッシャーとして活躍するアーセナルMFマルティン・ウーデゴーを参考にしながら日々その精度を磨いている。
小学年代では4種の強豪・レジスタFCのキャプテンとして「JA全農チビリンピック」で日本一も経験。その後進んだFC東京U-15深川では悔しい想いもした中で「高校3年間で身体を作って、大学の4年間で勝負したい」と大学経由でのプロ入りを目指し、高校は系列大のある立教新座を選択。中学時代は150cmないくらいだったという身長もこの2年で176cmまで伸びた。
選手権はエースナンバー10を背負う。2年生でこの番号をつける重圧もあったという中で「3年生はつけたくてもつけられない選手がいる。その分も頑張らなければと思っています」。今年はエース核とみられたMF河下楽(3年)が2度の前十字靱帯の怪我でプレーすることが叶わず。今大会はプレイングアドバイザーという形でチームを支えている。また、その他にもこの番号をつけたくてもつけられなかった選手たちがいる。そういった想いも背負ってピッチに立つ。
「今年は新人戦(県8)、関東大会(県16)、インターハイ(県46)となかなか結果を残せていないので、選手権こそは必ずベスト4以上に勝ち上がって、全国にも出たいので頑張ります!」
石黒登(取材・文)