信じ飛び込み続けたからこそ、その瞬間がある。松山女子との準々決勝、本庄第一FW常見梨乃（３年）は前半３分、セットプレーからキーパーの取りこぼしを見逃さず、決勝弾を奪った。

「いつもゴール前に飛び込むことを意識している。そこでキーパーがこぼす可能性もあるので、もうそこは自分がなにがなんでも行くという気持ちがある」。MF小池樹里（２年）のキックに飛び込み、ファンブルの瞬間、キーパーとボールの間に身体を入れると反転から右足を振り抜いてゴール右隅に流し込んだ。早々の先制弾はそのままチームをベスト４に導く決勝弾となった。

常見は得点感覚を買われてひとつ上の代から主力としてプレー。そんな常見に川合拓郎監督がかけ続けたのが「いつも詰めてないと、ご褒美はもらえないよ」という言葉。その言葉をしっかりと体現してのゴール。信じて飛び込み続けたからこそ手にした「ご褒美」に「前線は泥臭くてもいいから点を取らないといけない。点を取れたことが本当に良かった」と言って笑顔を見せた。

「３年生はラストの大会でいろいろな想いがある。とにかく絶対にまずは関東に行って、勝って、全国に行きたい。それだけが３年生全員が思っていることだし、チーム全員が全員で戦うっていうイメージを持っているので、もう本当になにがなんでも死ぬ気で戦って次に進むだけです」

関東懸けの準決勝はこれまで多くの試合でしのぎを削ってきた花咲徳栄との一戦に。前回対戦した学校総体は怪我で出場できず、「その分も絶対に勝ちたい」と話すFWは「やっぱり前線にいるので、ちゃんと前でボールを持ったらゴールを目指して、ミドルシュートとかも狙っていって、点に繋げて、絶対に勝たせたいと思います」と次も自らのゴールでチームに勝利を呼び込む。

石黒登（取材・文）