昌平FW小田晄平、怪我から復帰のFWが新潟入りしたOB彷彿とさせる裏抜けで決勝ゴール!「今シーズンで一番調子が良い」 プレミアPO、選手権に弾み

頼りになる男が帰ってきた。昌平はプリンス関東1部最終節の流通経済大柏B戦でU-17日本代表FW小田晄平(2年)が先発出場。43分には得意の抜け出しから決勝ゴールをマークした。

「裏への抜け出しは自分の得意なプレー。そこはしっかり出していかないとダメだなと思っていましたし、監督からもFW起点というのを言われていた。チームに貢献できてよかったです」

前半から持ち味の裏抜けを見せていくと、1-1で迎えた43分、MF土谷飛雅(2年)の配球に抜群のタイミングで飛び出し。「抜け出したタイミングでキーパーがちょっと滑ったのが見えた。シュートを打つ前もキーパーがまだ体勢が崩れていたので、これは上しかないなと思って」。インターハイの大津戦でも同じようなシーンがあったが、その時はGKに当ててしまっていた。一瞬「そこがよぎった」と話すが、今度は冷静にGKの上を越すシュートでネットを揺らした。

今年は怪我に泣かされたシーズンに。8月のユースワールドチャレンジで右膝の内側靱帯を損傷。何度か怪我を繰り返しており、復帰には3ヶ月を擁し、選手権予選も出場できなかった。

焦る気持ちもありつつ、最終学年となる来年、活躍するためにトレーナーとともに肉体強化。また健康に気をつけた生活を送ることを心がけ、いまは「今シーズンで一番調子が良い」という。

前週に行われたS1リーグの大一番、正智深谷戦で後半途中からピッチに立ち、ゲームに復帰。「春も出られない時もあって、実際今年プリンスでは出場時間的には(合計で)「4試合分」くらいしか出られていなかった。今日は最終節ということもあったので、スタメンが発表されて、今日は自分が点を取るという気持ちはあったのでよかったです」と試合後には笑顔がこぼれた。

「やっぱりスピードは売りですし、けどその中でも抜け出しのタイミングはFWの中では自分は一番だと思うのでそこは自信を持っています」。180cmと大型だが、身長に頼った大味なプレーをするのではなく、一瞬の抜け出しに輝きを放つタイプ。FC LAVIDA時代、村松明人監督はその後プロ入りするOBを引き合いに出し「身長のある小見洋太」と小田のことを話していた。

新潟入りした先輩FWとは入れ替わりだったこともあり、直接の関わりはない。それでも村松監督からも「いつも口酸っぱく洋太はやってたよみたいな感じで言われていた」というように身近に感じていた存在。「その小見君がプロに行って、自分の似ている選手がプロに行ったことで刺激もありましたし、直接の関わりはないですけど、新潟の試合は毎試合見ています」と明かす。

LAVIDA入団当初は「抜け出しは当時下手でスピードしか売れなかった」というが、「抜け出しのタイミングだったりは本当に盗んでやっていましたし、あとは小見君はどんな状況でもチームに貢献する選手だったので、そういうところはずっと意識してやっていました」とテレビで見る先輩FWのプレーに学びながら、自分の武器に磨きをかけてきたことがいまに繋がっている。

継続的に年代別代表にも選出。「貴田(遼河)とか後藤(啓介)、郡司(璃来)、(田中)侍賢、本当にそこら辺は日本のトップなので、そこでもいろいろ盗めますし、その中でも自分の特徴を出していかないとダメなので、そこら辺は頑張っています」。今年は怪我もあって3月の招集以来遠ざかっているが、「海外遠征も始まったりして、やっぱり行きたいなとは思いますけど、最後はやっぱりチームが勝つことがすべて。チームで結果残して、その延長戦上で代表に入れればいいかなと思っている」と昌平で結果を出すことをまず第一に考え、その先に代表復帰を見据える。

そのためにもプレミア参入戦、選手権でチームの勝利に貢献すること。小田は「まずは自分たちも来年プレミアで戦えるように頑張っていかないとダメだし、終わった後はすぐ選手権が始まる。きついグループに入りましたけど、それを全部なぎ倒して日本一取れればと思っています」と意気込み。その中で「今年は点があまり取れてないので点にはこだわっていきたい。選手権に関しては得点王もありますし、(福田)師王君とか、小林俊瑛くんとかいますけど、その中でも自分が一番点を取って、日本一に導けたらなと思っています」と得点王争いにも名乗りを上げた。

「今シーズン一番調子が良い」と話す2年生FWが大事なシーズン終盤戦でゴールを量産する。

石黒登(取材・文)