埼玉栄はMF沖中愛斗が4強導く『有言実行』の決勝弾! プレミア得点王の動画見てモチベアップ、豊富な運動量も武器の栄の切り込み隊長
12年ぶりの4強進出を果たした埼玉栄は沖中愛斗(3年)、樋口有斗(3年)と運動量豊富な両翼が仕掛け。中でも沖中は「ポジショニングも良いし、運動量もあって、よくハードワークしていた。ゴール前で樋口よりも沖中の方が絡んでいた」と滝井友和監督もその積極性を認めていた。
右SHでスタートすると、自信を持ってサイドを仕掛け、積極果敢にゴールへと迫る姿勢を見せる。前半5分にこの日のファーストシュートを放つと、28分のミドルシュートはわずかに上に。41分には2度深く切り返し、右足で狙ったシュートは相手DFの決死のブロックに遭い、ゴールとはならなかったが、チームの中で一番得点への予感を漂わせていたのが沖中だった。
「いつも自分が決めて勝つみたいなイメージは持っている。練習が終わった後に自主練でシュート練習に取り組んでいて、「今日は絶対に決める」と仲間に言って臨んだ」という。試合前にはアジア人初のプレミアリーグ得点王で「両足で蹴れて、縦への突破とか、ちょっと似ているところもある」と参考にしているソン・フンミンの動画を見て、モチベーションを上げていた。
そしてその瞬間がついに訪れる。左SHにポジションを変えた延長前半3分、MF原虎太郎(3年)のクロスにファーサイドでヘディングで合わせた。「もうゴール前に入り込む意識だけだった」という沖中は「本当にみんなのおかげ。ゴールはもう押し込むだけでした」と仲間に感謝する。有言実行のゴールは埼玉栄を12年ぶりの選手権予選ベスト4に導く決勝ゴールとなった。
実は後半最後にCKを取った際に足に来ているような仕草を見せており、本人も実際「結構来ていましたね」と話す。それでもそこからでも無理が利くのは強み。滝井監督は「運動量があるんです。実際チームで測定とかをすると一番走れる」と明かす。4月、5月あたりは足を吊らせる回数も多かったというが、練習後に自主練で走り込み、試合を通じて走れる体力を手に入れた。
準決勝の相手は昌平だ。「常にチャレンジャー精神で挑んで、絶対に勝って、決勝に進めたらと思います」。豊富な運動量で攻守に走り、プレミア得点王のような一刺しで王者から金星を狙う。
石黒登(取材・文)