大宮アルディージャVENTUS U15の司令塔。MF渡辺夕那（３年）について小林凜監督は「今シーズンを通して、本当によく成長している選手。本当に攻守にわたって気を利かせていて、コーチングもできますし、チームにとって欠かせない存在なのかなというのはあります」と話す。

その渡辺は、２日に行われた埼玉県女子ユース（U-15）サッカー大会・関東大会予選・決勝のクラブ与野レディース戦でも、３センターの一角として攻守でインテリジェンスの高さを見せた。

「カウンターが怖かったので、そこは相手がボールをどこに出しそうなのかを考えて、ちゃんとフォローできた」。相手ボールとなった時にも冷静にパスコースを読んでカットし、連続攻撃の起点に。そこから視野の広さや精度の良いキックを武器にサイドに展開してリズムを作った。

今年は課題だったディフェンス面でコーチや仲間からアドバイスをもらいながら成長し、より中盤で存在感を放つ選手に。指揮官も「まず攻守の強度というところですごく戦えるようになったこともありますし、頭を使って守備をしたり、攻撃をしたり、元々スピードがあったり、力強さがある選手じゃないんですけど、アルディージャの中でも大事にしている賢さとかインテリジェンスのところですごく真ん中のところで良い力を発揮してくれている」と絶賛する。

プレーモデルは現役時代、十文字VENTUSなどでプレーした渡辺千尋コーチだ。「一緒にゲームの中に入ってコーチは２タッチというルールでやった時、本当にコーチのところに入っても取られないんです！　プレッシャーが来ている中で２タッチで回せるのは本当に視野を広く見ているからだからすごい」と目を輝かせる。身近なお手本の一挙手一投足を学びながら成長する。

現在はまだまだ体力面で課題が残るが、「体力をもっと上げることができたら、ディフェンスも足だけではなく、身体の入れ方とかも覚えてきているので、ちゃんと身体でいけるんじゃないかなって。もっとディフェンス面を強化できて、自分のオフェンスの良いところをフォローできるんじゃないかなと思っています」と、攻守両面でさらにジャンプアップできるという感覚もある。

「チームの司令塔として声を出して、フォローをどんどんして、チームの縁の下の力持ちになっていきたい。大宮アルディージャの戦い方で、関東リーグのチームを倒して全国に行きたい」。

関東でもアルディージャのサッカーで全国へ―。その中心で攻守で躍動し、チームを勝利に導く。

石黒登（取材・文）