悪夢のような怪我から一夜空けて、準決勝の帝京（東京）戦の会場に、松葉杖を突きながら出場する選手たちを懸命にサポートする昌平のキャプテン、DF津久井佳祐（３年）の姿があった。

津久井は準々決勝の大津（熊本）戦でセットプレーの際に右足を故障。すぐに救急搬送された。

藤島崇之監督は「もともと昨日は１日入院していて、今日会場に来られた時間がたまたま、あの時間だった。メンバーには入れるのでそこで入れて、チームを鼓舞するという役割もありますし、逆にそれで何かを佳祐に言えという話はしていないですけど、本人が自分自身で何が出来るかというところを考えてやれていた」と、津久井を試合途中からベンチに入れた理由を明かす。

津久井も「やっぱりキャプテンとして、そこは最後までやらないとなって、昨日の時点で決めていたので、最後までやりきりました」と話す。試合後は出場していた選手たちに「ごめんな」と声をかけられ涙。「試合に出られなくて、勝てればいいなと思っていたんですけど、負けるとすごく悔しくて、あの時、あんな怪我をしなければ…と思っちゃいます」と言葉を詰まらせた。

今大会はまさに「チームの中心」として指揮官もベストプレーヤーに挙げていただけに本人にとっては相当無念だっただろう。これから埼玉に帰って手術する見込み。今後は厳しいリハビリが待っているが、藤島監督は「こういった形の中でも成長出来る部分にはなると思う。すごくよりここからまたグレードアップ出来る選手だと思う」と怪我を乗り越えた先の成長に期待した。

石黒登（取材・文）