昌平MF土谷飛雅、劇的FKで準決勝に導く! 良質なキックが武器の2年生プレーメーカー
ラストワンプレーで劇的決勝弾―。昌平MF土谷飛雅(2年)がチームを準決勝進出に導いた。
狭山ヶ丘との準々決勝、昌平は引いて守る相手に対し、なかなか得点に繋げることが出来ずにいた。ボランチの土谷も展開などで打開を試みるも崩せず。後半は中盤底をMF佐藤海空斗(3年)に任せ、1列前に出る形でMF長準喜(2年)とポジションを取りながら攻撃に出ようと試みたが、うまくボールに関わることが出来ず。だからこそ、「最後は決めてやろうと思っていた」。
後半43分、中盤でボールを持った土谷はここぞとばかりにドリブルで一気に前進。これにたまらず相手が足を出しFKを獲得。「ドリブルに入った時にシュートを打てたんですけど、練習の時から結構FKを決めていて、だったらファールをもらってFK勝負の方がいいかなと」。毎週木曜日はセットプレーの確認の日だが、試合週は5本打って3本を決めるなど調子は良かった。
スポットに立ったのは右利きの土谷とレフティのMF荒井悠汰(3年)。おそらく相手DFも含め、多くが荒井のキックを予想しただろう。だが、FKをもらった時から蹴ることは決めていた。
「ちょうど相手の壁も間が空いていた。ちょっとニアは無理かなと思って。だったら壁上を越してファーの方が良いかなと思った」。右足から放たれたコントロールボールは想定通りの軌道を描いてゴール左隅に突き刺さるゴラッソ。ゴールが決まると同時に土谷は仲間たちの待つベンチへ駆け出し特大のガッツポーズ。そして祝福を浴びている間に終了のホイッスルが鳴った。
土谷の持ち味は良質な「キック」。精度はもちろん、キックの種類も豊富で荒井らサイドプレーヤーの抜け出しに合わせて相手サイドバックの裏に落とすパスや、グラウンドすれすれをスッと刺すようなパスもある。加えて、それらをワンステップで蹴り分けられるというのは魅力。また、長短のパスで速攻と遅攻を使い分け、「自分たちの流れに持って行く」ことが出来る選手だ。
もともと、FC LAVIDA時代は左SHでドリブラーだったが、転機となったのが中2の最後から中3にかけての春。コロナ禍による活動自粛で練習がまったく出来なかった時期に小学校のグラウンドを借りて、左足も含めて、ロングボールを蹴り込んだことがいまに繋がっている。そしてそれは高校に入ってからも昌平屈指の激戦区であるボランチのポジションで生かされている。
プレーモデルはシャビ。「いつも試合前に電車の中とかでシャビを見ていて、うまくて、自分でも運べるし、パスも出来るみたいな、そういうところがいいなと思って毎回見ている」という。
昌平の『7』と言えば代々“チームで一番うまいヤツ”がつけてきた番号。MF針谷岳晃やMF小川優介、MF平原隆暉といったプロ入りした選手に加え、昨年は東洋大の10番を背負い、総理大臣杯準優勝に導いたMF山下勇希、関東2部の関東学院大で1年時から出場機会を掴むMF木下海斗など、錚々たるメンツが並ぶ。「そこはあまり何も考えてないです。自分のプレーをすればいいかなと思う」と話すが、2年生でこの番号を背負うことからも期待の高さが見て取れる。
準々決勝はやや不完全燃焼に終わっただけに「後ろは絶対に無失点で守ってくれる。あとは前が点を取るだけなので、今度はぎりぎりの戦いじゃなく、2点、3点と取って圧勝して勝ちたい」と土谷。ゲームの流れを持ってくるパスでチームにリズムを呼び込んで、大量得点に繋げる。
石黒登(取材・文)