「今日やらないでいつやるんだ!」成徳深谷MF和光翔夢、覚悟を持って臨んだ10番がコーチも認めるベストゲーム

「今日やらないでいつやるんだ!」。

そう言い聞かせて臨んだ成徳深谷MF和光翔夢(3年)が準々決勝で会心のプレーを披露した。

今大会は2戦連続の6得点で勝ち進んだ成徳深谷だったが、和光にとっては悔いの残る出来に。「前の試合とかももう全然自分の思い通りのプレーが出来なくて、自分の中で今日もダメだったなと…。セカンドもそうですし、シュートも全然打てなくて、全然ボールにも触れなかった」。

和光は小学校年代に所属した戸塚FCで全国も経験したアタッカー。大野剛志コーチも「すごく技術のある選手で攻撃の部分では大きく期待している選手」と語る。しかし、フィジカルやメンタル的な部分が足かせとなり、なかなかその技術をゲームで発揮することが出来ていなかった。

それでも4年ぶりのベスト4がかかった一戦で「今日やらないでもういつやるんだ!」と自分に発破をかけてピッチに上がると、球際にも譲らずにいってセカンドを回収。ボールを持てば「前を向いた時にシュートも、ドリブルも、パスも、いろいろな状況で判断出来る」という強みを発揮し攻撃を牽引した。そして延長後半には自ら仕掛けてPKを獲得。すでに足もつっていたが、「絶対に自分が蹴る」と志願し、これを沈めてチームの勝利を決定づける2点目を記録した。

本人も「完璧ではないんですけど、自分がしたいことは出来た」と確かな手応えを感じたようだ。見守った大野コーチも「彼に関しては今日はもうベストゲームだったと思います。その姿は私たちから見ると初めて見る彼で、そういう姿をこの準々決勝という大きな舞台で彼がしっかりと体現出来るようになってきたかなと思うし、それが結果に結びついて私としても嬉しい」と喜ぶ。

今年は10番を背負うが、その背番号の重圧もしっかりと受け止めつつ、自分のストロングポイントを出してプレー。ひとつ本人にとってもターニングポイントになりそうな一戦を経て、和光は「今後も自分がどんどん積極的に攻撃リズムを作って、自分の得点で優勝出来るように頑張っていきたい」。4年ぶりのタイトルを狙うチームにとって10番の覚醒は大きなプラス材料だ。

石黒登(取材・文)