ファルカオFC久喜

ファルカオ エフシー クキ

活動拠点鷲宮運動広場 久喜総合運動公園 菖蒲運動公園 ほか
練習日平日:月、火(ジュニア)  水、木、金(ジュニアユース) 土日祝:練習、練習試合
HPアドレスhttps://falcao.jp/


ポルトガル語で「鷹」と言う意味を表すFALCAO(ファルカオ)。埼玉県久喜市から、鷹のように世界に羽ばたく人材を育てるという強い決意を込めて、2016年に設立された新進気鋭の街クラブだ。クラブのスタイルは、全員が攻守に関わり、人と人が繋がるサッカー。その魅力的なスタイルに惹かれ、遠方から通う選手も多い。

街クラブのDX推進

ファルカオFC久喜にはじめて注目が集まったのは、2020年。コロナ禍で多くのサッカークラブが活動の休止を余儀なくされるなか、デジタルを活用した取り組みで、危機を乗り越えたことが複数のメディアで取り上げられた。

ファルカオFC久喜が初めてデジタル技術を導入したのは2018年にさかのぼる。試合などの動画を選手たちで共有し分析が可能となるアプリケーションを導入した。さらに2020年に新型コロナウィルス感染症が流行し始めると、いち早くZoomを活用したオンライントレーニングを開始し、存続の危機を乗り切った。さらに夏には、走行距離や心拍数、スプリント回数、スピード、疲労度などのバイタルデータをリアルタイムで計測できるGPS搭載のウェアラブルセンサーを導入。取得したデータを指導や選手起用に生かすなど、デジタルを活用し、感覚に頼らない指導を目指している。

このようなDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進したのはクラブ代表を務める瀬川泰祐氏。民間企業でのビジネス経験を生かし、小さな街クラブに変革をもたらした。

「強化一辺倒ではダメ。大学や企業が人材評価の基準を大きく変える中、サッカークラブも人材育成の方針を変えていかなければならない。社会に出て活躍するためにも、選手たちには自発的に行動し、自己表現ができるようになってほしい。そのような人材育成を行うためにも、必要な投資はしていく。そしてコーチたちのさらなる意識改革が重要」と瀬川氏の口調は熱を帯びる。

自らスイッチを入れられるチームを目指して

数日後、練習場を訪れてみて、ファルカオの選手たちの自由さに驚いた。ある選手は黙々とボールを蹴り、ある選手は談笑しながらゆっくりとアップをしている。

コーチたちは選手に規律を求めたくならないのだろうか。

2022年度よりジュニアの監督を務める佐藤和希氏は、次のように語る。

「コーチたちも自ら考えて行動することが求められている。そして選手たちにそれを求めています。自由と責任はセット。もちろん、小・中学生ではなかなかメリハリがつかない時もあります。でも選手たちが自らスイッチを入れることができたとき、チームがガラっと変わるんです。自分でモチベーションをコントロールし、目の前の相手に全力で立ち向かっていけるチームを作っていきたい」。

先鋭的な取り組みを進めるファルカオFC久喜。このようなクラブが、いつか埼玉県を代表する街クラブに成長していくのだろうか。小さな街クラブの改革は、まだ始まったばかりだ。

編集部(取材・文)