決して多くを語るタイプではないし、先陣を切ってまとめていくというタイプでもない。それでもひとたびピッチに入れば時には熱く、時にはクールにチームを引っ張るリーダーに変わる。昌平３rdのキャプテン、DF服部義大（３年）は連覇を果たしたチームで欠かせない存在だった。

「自分はそんなに技術的にあるわけじゃないので、やっぱり声を出したり、戦う部分でやるしかない。そこはいつでも出さないとなと思っています」と服部。中学校年代からそういったメンタリティは持ち続けており、高校でも「そこだけはやめないようにと思っていました」という。

森田光哉コーチも「やっぱり試合になると熱くて、冷静にチームを引っ張ってくれる。技術の低いところからスタートしていますけど、一生懸命やるというところのスタンスは変わらない。その中でよく成長しましたよね。練習からそんなに引っ張っていくという感じでもないんですけど、プレーになるとやっぱり信頼できる」と、このチームのキャプテンを任せた経緯を明かす。

前節の浦和東では終盤まで１－２と苦戦を強いられた中で「ベンチの我々が「行け！行け！」となっているところを「冷静に繋ごうぜ」「冷静にやろうぜ」と声をかけていた。そういうところの責任感は持っている」（森田コーチ）。試合はラストワンプレーで昌平が追いつき、無敗をキープしたが、服部の声かけがチームに再び冷静さを取り戻させたという面もあったかもしれない。

この日も入りが悪かった中で飲水のタイミングなどで声をかけて修正。守る場面はそれほど多くはなかったが、最後方で安定感を見せ、後半はセットプレーから大会３点目も記録した。今リーグは９戦すべてに出場した大黒柱に森田コーチも「よくチームを引っ張ってくれた」とした。

高校での３年間は苦しいこともあったが、「３年間辞めなかったことは大きい。今後も何事も諦めず、最後までやれるようにと思っています」と、この経験を次の舞台でも繋げていくつもりだ。

石黒登（取材・文）