完敗受け止めて「次やったら負けないように」。正智深谷は出場したからこそ掴めた全国での経験糧にレベルアップし選手権でリベンジ狙う

8年ぶりのインターハイは初戦敗退に終わった。令和3年度全国高校総体(インターハイ)1回戦が14日に行われ、埼玉県代表の正智深谷は3-0で神村学園(鹿児島)に破れて涙を呑んだ。

序盤から相手にボールを持たれる展開となった中で正智深谷は森下巧(3年)、小屋結世(2年)のCBコンビが球際と最後の部分でしっかりと足を出していくなどして相手の攻撃を凌いだが、前半25分に神村学園MF篠原駿太(3年)に決められ、予選も含め6試合目にして得点を許す。

1点を追う正智深谷は直後、10番MF増子康介(3年)がドリブルで持ち出して、MF平田脩真(3年)のクロスにMF大野涼真(3年)が合わせるも惜しくもゴールとはならず。また「神村学園のように足下がうまいチームは引いてしまうと自由に持たれてしまう。いつも通りの守備をして、引きすぎず、ラインをコンパクトに保って、ひとりひとり声をかけあって、チャレンジとカバーという守備が狙いでした」(森下)というチームは前線でうまく挟み込みながらショートカウンターからチャンス。前半30分にはMF渡辺友斗(3年)がドリブルから放ったシュートはキーパーの攻守に阻まれたが、しっかりと決定機を作った中で1-0で試合を折り返した。

この勢いで後半に取り返したいところだったが、後半6分に“鷹の目を持つ”と言われる広い視野を持つ相手のU-17日本代表候補MF大迫塁(2年)を起点にクロスをMF 若水風飛(3年)に押し込まれ0-2。さらにその2分後にはクロスの処理が内に入ったところを大迫に決められた。

正智深谷は怪我で予選を外れた主将のMF寺田海成(3年)らを投入し打開を図りに。終盤には増子のポストプレーから途中出場のMF秋山敬吾(3年)が狙っていくが枠を捉えることが出来ず。そのままタイムアップを迎え、久しぶりのインターハイは初戦敗退という結果となった。

小島時和監督は「相手には余裕があったし、そういう意味ではスコアに表れたんじゃないかと思う。前半1点を取られて、慣れてきて、点を取れるチャンスで取れればもっと面白い展開になったと思うが、そこを取り切れなかった。相手はあのようなチャンスをしっかりと押し込んでくる。そういうところでこちらがつけいる隙を与えてくれなかった。全国での経験値もうちは3回目と言っても初出場みたいなものなので、そういう意味で差が出たのかなという感じがします」。

それでも「次やったら負けないように。良い経験になったと思います。また全国で当たればもっと良い試合が出来るなというものは掴んだので、また頑張っていきたい」。「守備の部分はもっと確立していく。攻撃についてはスキルを上げて、ボールが来たらガーッと行くのではなく、人を使うのか、自分で行くのかというのを落ち着いて判断出来るようになっていかなければ埼玉を抜けても全国では上に行けないのでもっとそういうところを研究させて、勉強させたい」とした。

オナイウ阿道を擁し4強入りした2013年以来、8年ぶりの夏の全国は無念の初戦敗退に終わった。それでもこの経験を出来たのは埼玉では正智深谷のみであり、貴重な財産。「次やったら負けないように」。これを糧にさらに成長し、厳しい県予選を勝ち抜け、再び全国でリベンジする。

石黒登(取材・文)

試合結果

神村学園(鹿児島) 3-0 正智深谷
1(前半)0
2(後半)0