[3rdリーグ]昌平MF平野龍空、S1、選手権メンバー落ち…悩んだ時期を乗り越えてチームをまとめた10番主将がMVPに

第6回埼玉県3rdチャレンジリーグ2025は、昌平が連覇を果たした第1回、第2回大会以来となる4年ぶり3度目の優勝。MVPには10番でキャプテンのMF平野龍空(3年)が選ばれた。

2位・西武台との直接対決となった最終節は、7分にパスミスをさらわれ失点する苦しい展開。それでも「HTで切り替えて、1点返せばもう1点取り返せるから、全員でまずは守備から取り組んでいこうということを声をかけて頑張りました」という平野が攻守でチームを引っ張る。

後半は右サイドからトップ下に移ると、「ギャップでパス受けて、味方がきつい時にパスコースを作ってあげて、それで侵入していくっていうのは得意」という平野がボールを受けながらチームにリズム。また、「やっぱりチームを勢いづけたくて、自分が人一倍走ってやっていくのが勢いづくのかなと思って頑張りました」と中盤から長い距離を持ち出してチームを勢いづかせる。

そのうえで「やっぱり10番で、エースナンバーをつけさせてもらっていて、キャプテンなので。“結果”っていうのを、この高校生活でずっと言われてきたので、最後結果っていう形で残せたらいいなっていうふうに思っていました」と平野のプレーが66分、ゴールへの扉をこじ開ける。

「クロスを上げてくれた子は同い年。1年生の時からSBをやっていて、クロスをよく自分に上げてくれたり、自主練で合わせることもあった。イメージ通りのパスが来て合わせるだけでした」

ともに3年生としてチームを引っ張り、「やっぱり動き出しを見ていてくれるので」と信頼する右SBの武田翔太郎のクロスに走り込んで右足ボレー。最後はFW小山内奏多(2年)が詰める形となったが、10番キャプテンの“実質同点ゴール”が4大会ぶりの3rdリーグ制覇に導いた。

平野は昨年、今年と総体予選でメンバー入りし、前期はセカンドチームのS1でスタートで出ていたが、徐々に出番をなくし後期は3rdリーグが主戦場に。目標としていた選手権予選のメンバー入りは叶わず、落ち込んだ時期もあったというが、「高校で頑張ってたことを公式戦はこれが最後だったので、楽しんで、全部出し切ろうっていう気持ちで切り替えて頑張りました」と話す。

蛯谷遼太郎コーチは攻守での貢献度に加え、「チームが下がった時にすごい盛り上げてくれるような存在だった」とピッチ内外でチームにプラスの声をかけ、まとめ上げた部分を評価。平野は「個人として悩んでた時期あったけど、3rdリーグで自分が中心となってチームを勝たせるっていうことを経験して、チームをまとめるってことで自信がついたかなって思ってます」と語った。

石黒登(取材・文)