[3rdリーグ]与えられた場所で、自分たちの価値を証明。昌平が最終節ドローで4大会ぶりの栄冠
第6回 埼玉県3rdチャレンジリーグ2025は7日、最終節を行い、1位・昌平と2位・西武台の直接対決は1-1の引き分け。この結果、昌平が4年ぶり3度目の3rdリーグ優勝を決めた。

最終節を前に昌平が勝ち点「24」、西武台が「22」。昌平は引き分け以上で第1回、第2回大会以来となる優勝、西武台は勝利すれば2年ぶり2度目のタイトルを引き寄せられる状況だった。
逆転タイトルを狙う西武台は立ち上がりから、前線からプレスを掛けて相手のビルドアップミスを誘い、そこからアタック。前半7分にはFW小山田康泰(2年)がディフェンスのバックパスを奪うと、タッチでさらにディフェンスを交わし、最後はGKとの1対1を沈めて先制した。
西武台はその後も小山田やMF古市晴空(3年)がゴールを狙う。27分にはクロスにMF水島宏道(2年)が合わせたシュートはわずかに上に外れたが、1-0で折り返すことに成功した。
昌平は前半、パスミスやバックラインでのミスも。それでも後半はトップ下に移った10番MF平野龍空(3年)がギャップでパスを引き出しながら攻撃を牽引。細かいエリアで連続してショートパスを繋ぎ、MF齊野蒼志(2年)がドリブルで持ち出すなど徐々にペースを作っていく。
17分にはリーグトップの14得点をマークするFW小山内奏多(2年)を投入する。19分にはその小山内がいきなりチャンス。相手DFのバックパスをさらうと、さらにキーパーも交わす。決定的かと思われたが、西武台DF桒原魁(2年)がカバーに入り決死のブロックを見せた。
それでも昌平は21分、途中出場の右SB武田翔太郎(3年)のグラウンダーのクロスに平野がニアに飛び込んでシュート。キーパーが弾いたこぼれ球を小山内が詰めて同点に追いついた。
西武台は37分、右クロスに水島が合わせたが、後半からピッチに立ったGK石田悠翔(3年)が好セーブ。昌平は48分、MF石川翔(3年)の直接FKがわずかに右に外れた。試合は1-1のままタイムアップ。勝ち点1を重ねた昌平が4大会ぶりとなる3rdリーグ制覇を果たした。
OBで柏FW小見洋太らと同期の蛯谷遼太郎コーチは「プレミア、S1に入れなかったメンバーたちで構成している中で、ここが自分たちの見せる場、アピールする場じゃないですけど、ここで活躍してやるんだっていう選手が多かった。本当に3年生を中心によくまとまったチームでしたし、日々の練習から良い取り組みをしていたことがこの結果に繋がったと思います」と話す。
その上で「どうしてもトップのメンバーに選ばれないとモチベーションも難しくなることもある。でも、このチームはそれに関係なく、自分たちのいま与えられた試合に対して1つ1つ上を目指している姿勢が伝わってきて、本当に見ていて面白いチームでした」と今年の代を振り返る。
武田とともにチームを牽引した平野も「自分たちの学年は真面目な選手が多くて、与えられたことをそのまま受け取るだけじゃなくて、いま自分がやるべきことを考えてやっていけるような選手が多いような感じはします」と分析。環境に不満を向けて立ち止まるのではなく、自分たちにベクトルを向けて積み重ねる。その姿勢が、4年ぶり3度目の優勝という“結果”に結実した。
自分たちの戦いを終え、ここから先はチーム一丸となって、選手権でのビッグタイトルに臨む。平野は「長(璃喜)くんとか、山口(豪太)くんも、よく一緒にサッカーしたりしているので、やっぱり最後だから、全員で全力で戦って、勝ってくれるように、少しでも力になれるような応援ができるといいと思っています」と宣言。全力応援でチーム初の冬の日本一を後押しする。
石黒登(取材・文)
試合結果
西武台 1-1 昌平
1(前半)0
0(後半)1


