[選手権]成徳深谷、“狙い通り”の立ち上がり2発で聖望学園撃破。3大会ぶり4強進出、準決勝で昌平に挑む
立ち上がりの強さを発揮した成徳深谷が3大会ぶりの4強進出。第104回全国高校サッカー選手権埼玉県予選準々決勝1日目が11月1日に浦和駒場スタジアムで行われ、前半20分までに2点を奪った成徳深谷が2-1で聖望学園に勝利。成徳深谷は9日の準決勝で昌平と対戦する。

今季のS1リーグでは成徳深谷が2戦2勝。トーナメントでは、インターハイ予選でもベスト8で対戦し、1-1で突入した後半ATに成徳深谷がDF横山大平(3年)のPK弾で制していた。
成徳深谷は3回戦の武蔵越生戦でも、開始から自分たちのペースに持ち込み、前半2分にMF鯨井遥翔(3年)が決勝点。この試合でも立ち上がりの良さを発揮し、序盤から主導権を握った。
12分にはDF佐々木亮(3年)が縦パスを起点に全体が連動。MF松尾泰希(2年)がスルーし、FW川上稜介(3年)がボールを収めると、さらに右SBの菅井陽斗(3年)がそこを追い越していく動きでボールをもらい右足一閃。逆サイドネットへ蹴り込み、試合の均衡を破った。
18分にはDF山谷康太朗(3年)のクロスから菅井がヘディングでゴールを脅かすも、聖望学園の1年生守護神・竹川凌平が好セーブ。しかし19分、再び攻勢に出た成徳深谷は、浮き球のこぼれ球をFW頓宮琥太郎(3年)が拾ってエリア内の鯨井へ。鯨井が左足を振り抜くと、鋭い弾道がネットに突き刺さった。2試合連続弾でリードを広げ、立ち上がりから試合を掌握した。
為谷洋介監督は「菅井が取った先制点は、イメージ通りで練習していた形。相手のロングスローワーにできるだけ自陣に近いところで投げさせたくなかった。なるべく押し込んでいく形で、前線にパワーのある選手を置いて、相手を下げさせたい、ひっくり返したい狙いがあった」と話す。
成徳深谷は2トップに当てながら、回収力のあるMF朝烏真大(3年)主将や2列目がボールを拾って攻撃。190cmの長身FW頓宮は相手にとって脅威となっていた。29分には中盤で頓宮が落とし、MF吉田佑樹(3年)のパスに抜け出した川上の右足シュートが左ポストを強襲した。
聖望学園はなかなかチャンスを作れなかったが、40+2分、敵将も警戒していたDF成相翔太(3年)のロングスローからDF竹山風雅(3年)がフリック。MF志賀偉武希(3年)がゴール前にロビングを上げると10番MF田中翼(3年)が押し込んで1点を返した。流れを手繰り寄せたい聖望学園はHTにFW小比賀渓太(3年)に代えてFW前住渚有(2年)を投入。後半1分には成相のロングスローのこぼれ球から前住がいきなりポスト直撃のシュートを見舞う。
成徳深谷も9分に、松尾、頓宮を下げて10番FW関根大和、MF白川成夢(ともに3年)を2枚替え。聖望学園は左右から揺さぶりをかけ、18分には成相の右クロスからMF沖田拓(3年)がヘディング。さらに混戦を前住が左足で狙ったが、成徳深谷守護神・本田一朗(3年)が防ぐ。
成徳深谷は23分、白川のスルーパスに抜け出した関根が決定機を迎えたが、右足のシュートは枠を捉えきることができなかった。後半はスコアが動くことはなかったが、守備でも最後まで集中を切らさずに2-1で勝利した成徳深谷が、2022年大会以来となるベスト4進出を果たした。
為谷監督は今季全勝の相手に対し、慢心を警戒していたという中で「このゲームは「選手を信じてピッチに送り出しましょう」と。もう選手が最後答え出してくれるものだから、我々がいくら策を講じても、結局ピッチで起きてることなので、選手を信じましょうっていうことで、統一を共有して送り出した。その中でよく頑張ってくれたかなというふうに思います」と振り返った。
準決勝の相手は昌平に決定。今季は新人大会でトップサブ中心の昌平に勝利しているが、トップトップでの対戦は2022年の決勝以来3年ぶりとなる。指揮官は準々決勝のもう1試合を引き合いに出し、「同じS1で戦っている浦和学院が健闘したっていうのはすごく僕らとしても勇気をもらえた。新たにできることはないと思うので、いままでやってきたことをちゃんと発揮できるように準備したい」と話す。朝烏主将は「相手はプレミアリーグ所属で経験差もあると思うんですけど、自分たちはチャレンジャーとして楽しみながら、インターハイはベスト4に終わっているので勝って決勝に行きたいです」と意気込み。県の横綱を下し、3大会ぶりの決勝進出を狙う。
石黒登(取材・文)
試合結果
聖望学園 1-2 成徳深谷
1(前半)2
0(後半)0


