[選手権]伊奈学園が総体予選16強の東野を撃破!ラストプレーで増田が劇的決勝ゴール

第104回全国高校サッカー選手権大会・埼玉県一次予選会は14日に2回戦を行い、Aブロックでは伊奈学園が総体予選16強の東野を1-0で下した。20日の代表決定戦で星野と激突する。

伊奈学園は初戦の新座柳瀬戦で20-0と快勝。東野を迎えたこの日は、馬力のある10番のFW本間天ノ祐(2年)など、前線にポイントを作りながらセットプレーを獲得し、ゴールに迫る。

34分にはMF山口響太(2年)が触ればというボールを上げ、38分には左CKのこぼれ球をMF増田直(3年)がダイレクトシュートで狙ったが、ここは東野GK田中柊丞(3年)に防がれた。

先のインターハイ予選では、狭山ヶ丘などを下し初のベスト16に進出した東野は、空中戦に強いDF山本翼(3年)ら、ディフェンスラインに複数枚欠場者が出る中でも、武器の粘り強さを持って対抗。MF坂井暖和(3年)主将も守備で何度も相手のセットプレーをはじき返し続けた。

後半も伊奈学園がチャンスを作り、16分にはセットプレーの2次攻撃で増田が抜け出してネットを揺らしたが、これはオフサイドだった。終盤の40分には再びコーナーキックのこぼれ球から山口が果敢に切り込んで狙ったが、東野は守護神の田中がこの場面もファインセーブで防ぐ。

伊奈学園はATにもロングスローからDF立花友羅(2年)がヘディングで決定機。東野も田中を中心にゴールを死守する。互いの意地を懸けた攻防の中でスコアが動いたのは40+4分だ。

伊奈学園はMF山田充希(2年)のロングスローから本間が競り合い、こぼれ球をDF萩原有梧(3年)がプッシュ。最後は増田直が詰め、値千金の決勝点を押し込んだ。そして直後に笛。ラストプレーで東野の堅守をこじ開けた伊奈学園が1-0で勝利し、代表決定戦にコマを進めた。

「例年の倍以上走ったし、倍以上試合をした」(翠川潤監督)というこの夏は、各地のフェスティバルなど、多くの試合をこなしチーム力を鍛えた。また、今年は初めて練習のためだけの2泊3日の波崎合宿を慣行。「練習の姿勢から、私生活から、全部をもう一度見直して、トレーニングも選手権に向けていろいろやって、本当に良い雰囲気でできたと思います」と指揮官は話す。

合宿を挟んで迎えた「COPA BUNAN AMIGIOS」では下級生主体のBチームだったものの、FC東京U-18にPK戦の末に勝利。連戦となった2回戦で成徳深谷に敗れたが、前半終盤まで0-0で耐え、最終スコアも0-2と、今年の関東予選覇者で県1部首位の強豪にも善戦した。

6人がスタメンした下級生は「県リーグを戦えるくらいの力はある」と武南出身の翠川監督も太鼓判を押す。「キープや推進力を見てほしい」と話す本間は1年次から10番を背負う期待のFW。また、1年生もクラブで主力だった選手たちが入学するなど、来年以降も楽しみなチームだ。

一方で「1、2年生が主体のチームなんですけど、やっぱり最後は3年生だと思う」と指揮官も奮起に期待する3年生たちも躍動。「夏前までは全然決められなかった」という増田は2試合9発とゴールを量産中。また、昨冬以来長期離脱していたMF宮武佑希(3年)主将もここに来て復帰した。今年は怪我でプレーできず、「選手権に懸ける想いはほかの人よりも強い」と話す宮武は「ここで満足せず、次の星野戦に向けてこの1週間良い準備をしたい」と強い想いを語った。

石黒登(取材・文)

試合結果

東野 0-1 伊奈学園
0(前半)0
0(後半)1