[選手権]切らさずに臨み、後半ATの劇的弾で再逆転! 昨年2次T進出の蕨が杉戸との打ち合いを制し初戦突破

第104回全国高校サッカー選手権大会・埼玉県一次予選会は7日に各会場で1回戦が行われ、Rブロックの蕨と杉戸の一戦は、蕨が3-2で競り勝った。14日の2回戦では川口北と激突する。

蕨は前半11分、右からのクロスに対し、逆サイドのMF近藤颯(3年)がニアにランニングしたFW松本新(2年)にスルーを要求。「キックフェイントを入れてカットインしてっていうのは昨日の夜とかも考えていた」という近藤が、冷静にDFを外して右足で流し込んで先制した。

「もう思い描いていた通りだった。理想通り」(近藤)という早々のゴールで蕨が勢いに乗るかと思われたが、杉戸も飲水明けに反撃。23分、セットプレーからゴール前の混戦をMF溜池暖人(2年)が技ありのヒールキックで決めて同点に追いつくと、さらに37分には溜池のスルーパスから10番のFW山本悠太(3年)が右足で流し込んで前半のうちに杉戸が逆転に成功した。

蕨は普段ではない連携ミスからの2失点。「そこは初戦の難しさだったかなと思います」(中川)。それでもここで切れることなく、後半もさらに気持ちを高めてプレー。点を取らなければいけない中で、後半途中からはボールキープ力に長けるDF中川世南(3年)主将が最前線へ上がる。

蕨は中川主将がトップでボールを収めながら、マイボールの時間が増えたことで周りの選手たちの動きも増え、パスが繋がる回数も増えた。その中で30分、左サイドで相手のクリアに対し中川が足を出して弾いてゴール側にプッシュ。こぼれ球を松本が押し込んで同点に追いついた。

2-2のまま試合はATに入った中で蕨は40+2分、MF若杉颯太(2年)がここ一番のドリブルで右サイドを突破し、クロスから再逆転となるゴールが生まれた。記録上は最後に触った近藤のゴールになったが、近藤は「触ったんですけど、若杉のゴールっていうことにしたいです」。「あそこで落ち着いて運んで、起点を作ってくれた。もう本当にあの場面は若杉にしかできないなと思うので」と、苦しい時間帯で値千金のプレーを見せた2年生MFのゴールと強調した。

これが決勝ゴールとなり、劇的な形で蕨が3-2で勝利。北一行監督は「本当に苦しい展開でしたけど、選手が1個1個のプレー、現象にも諦めずにやった結果が勝利に繋がった」と話した。

蕨は昨年、3年ぶりに2次予選に進出。中川や近藤、10番MF上村大輔(3年)ら、経験者が屋台骨を支える今年は「県大会での勝利」を目指す。そのためにもこの1次予選は乗り越えていかなければいけない試練。2回戦に向け、中川主将は「今日の試合以上にタフな展開になると思うので、今日以上に走って、気持ちを出して、絶対に勝ちたいと思います」と一戦必勝を誓った。

石黒登(取材・文)

試合結果

杉戸 2-3 蕨
2(前半)1
0(後半)2