[総体]「真面目」な代が歴史を動かす!2度のビハインドを追いついた東野が狭山ヶ丘をPK戦で振り切り、初の県16強入り

令和7年度全国高校総体サッカー大会埼玉県大会2回戦が3日に行われ、東部支部1部の東野が2-2からのPK戦の末にS2の狭山ヶ丘に勝利し、初の県16強(15強)進出を果たした。

須釜洋勝監督も「真面目」と話す東野が格上にも怯まずに臨み、歴史を動かした。初戦は本庄第一に3-0完勝。2回戦は2つカテゴリが上の狭山ヶ丘との対戦だったが、「僕たちがやってきたことを出そう。一個一個やってきたものを信じてやっていこう」と自分たちのスタイルで臨む。

個々の能力で上回る狭山ヶ丘に対し、東野は「前からガンガン走って、前から嵌めにいくのが自分たちのサッカー」(坂井)と引いて守るのではなく、前戦からプレスを敢行。23分にはMF坂井暖和(3年)主将がドリブルで左サイドを抉り、MF高玉未来(3年)がシュートまで繋げた。

一方、地力で勝る狭山ヶ丘もMF中山琥太郎やDF伊藤力(ともに3年)などサイドの攻撃力を生かしながら前へ。連続して押し込むと40分、MF加園拓斗(3年)が決めて均衡を破った。

東野にとっては痛い時間の失点だったが、後半もやることは変えず、自分たちのやれることにトライ。すると12分、セットプレーの流れから右SBの加藤大智(2年)のクロスをCB山本翼(3年)の2試合連続弾で同点に追いつく。しかし、狭山ヶ丘も18分、中山琥の横パスからMF高木玲(3年)、10番FW中山晴登(3年)と繋ぎ、高木が右足で流し込んですぐに引き離した。

狭山ヶ丘は28分、伊藤のFKがクロスバーを強襲した。東野は終盤、GK田中柊丞(3年)がセットプレー時の負傷で交代となるアクシデント。厳しい状況を迎えたが、43分、加藤のクロスをFWワンニャマ・メルヴィン(2年)が競ると、「もう決めるという想いしかなかった」という途中出場のMF中川璃玖土(2年)が右足で値千金のゴール。土壇場で同点に追いついた。

延長戦では田中に代わり、ゴールマウスに立った川田暁士(3年)が奮闘。狭山ヶ丘は延長後半10分、MF七田凌(2年)のシュートが惜しくも左に逸れた。そのまま勝負の行方はPK戦へ。互いに7人目までが成功した中で東野は8人目の中川が決めると、後攻の狭山ヶ丘が外して勝負あり。100分超えの熱戦を制した東野が格上撃破でチームとして初のベスト16進出を決めた。

須釜監督は「本当に先生たちからも慕われている学年で、1個1個真面目に取り組める代。点もそんなに取れるわけではないですけど、ロースコアでもやるべきことをしっかりとやって、うまくいかなかったら自分たちで話し合おうっていう空気感は自分たちで作り上げられる」と話す。

今年は西部支部1部リーグでも現在無敗の首位に立つ。この日は2度のビハインドを背負ったが、坂井やFW秋葉森洋(3年)が声を出しながらチームとしてやることはぶらさずに。「前戦からプレスをかけ続けられた」ことが強敵撃破に繋がった。坂井は「自分たちのサッカーをやって勝つっていうのが一番やりたいことだった。こういう相手に自分たちのサッカーをやって勝てたっていうのは自分たちのこれからの成長にも繋がるかなと思います」と納得の表情を見せた。

次戦はS1の聖望学園が相手。坂井は「さらに強い相手とできるチャンスっていうのはなかなかないこと。そこでもう一個、自分たちのサッカーが聖望相手にどれだけ通用するかっていうのは楽しみなところではあるので、そこでもう一個勝って、自分たちの名前を埼玉に響かせたいと思います」と意気込んだ。歴史を動かし勢いに乗る東野が自分たちのサッカーでジャイキリを狙う。

石黒登(取材・文)

試合結果

狭山ヶ丘 2(7PK8)2 東野
1(前半)0
1(後半)2
0(延前)0
0(延後)0
7(PK)8