[総体]耐えて、繋いで、掴んだ「県1勝」。三郷北がPK戦で山村学園を下し、2回戦へ!県内初、ユース審判員が笛
令和7年度全国高校総体サッカー大会埼玉県大会1回戦が5月31日にしらこばと運動公園競技場ほかで行われ、三郷北と山村学園が対戦。スコアレスからのPK戦の末に三郷北が勝利した。
第2試合も激しい風雨が吹き荒れた中で、前半は風上の山村学園がやや優勢に攻撃を展開。10番FW國武隼人(3年)がカットインを狙い、30分には速攻から國武のパスにFW森川陽斗(3年)が抜け出したが、ここは三郷北GK上原璃久(3年)が好判断で前に出てストップした。
三郷北は押し込まれる時間も多かったが、「とりあえず前半はグラウンド状況も含めて耐えられればいいかなと。自分たちの時間になるまで我慢しようという話をしていたのでそれは良かったなと思います」(松岡孔亮監督)。DF安達琉成(3年)を中心にディフェンスラインがはっきりとプレーすることを徹底し相手に決定的なチャンスを与えず、0-0で試合を折り返した。
後半もセットプレーからゴールに迫られたが、三郷北は最後の部分できっちり身体を寄せてシュートを打たせず。中盤では「絶対に誰よりも負けたくない気持ちと、主力が代わっていく中で自分が残されているということは、自分がチームを引っ張って、最後まで試合を締める役割を持っているんだと思いました」というMF関愛斗(3年)主将がしっかりと戻りながら牽引した。
すると中盤以降は三郷北がペースを握り、関がロングシュートで相手GKを牽制。延長戦でも途中出場のFW畠野有人(3年)がシュートに繋げるなど、良い流れを持ってPK戦に突入する。
PK戦は互いに5人目まで全員が成功し、サドンデスへ。先行の三郷北は6人目の安達が決めて繋ぐと、後攻の1本を上原が右に飛んでストップし、100分を超える戦いに終止符を打った。殊勲の守護神は「前後半とみんなで力を合わせて守って、PK戦まで繋いでくれて、みんなに恩返しがしたいと思っていましたし、ここで自分が止めて勝つぞと思っていた」と胸中を明かした。
昨年は選手権予選1回戦で市立浦和に敗れ、今年も関東予選初戦で埼玉栄に0-5で敗戦。多くの選手にとって初の県での勝利だった。関主将は「やっぱり県大会で1勝できるっていうのは、これからにとっても大きなこと」と話し、上原は「みんなで掴んだ勝利」と喜んだ。一方で「この後が大事だなと思います」(関)。この瞬間を喜びながら2回戦に向け、気持ちを切り替えた。
次戦は関東予選8強の浦和学院が相手。松岡監督も「間違いなく格上のチームだと思いますけど、それでも自分たちのやりたいサッカーがどこまで通用するかっていうのを楽しみに選手たちには臨ませたい」と話す。上原は「浦学戦もしっかりと声を掛け合って守って、後ろは0で抑えるだけ。しっかりと勝ちきりたい」と格上相手にも臆せず、ジャイアントキリングを誓っていた。
なお、この試合は今年、「FUJIFILM SUPER CUP 2025「NEXT GENERATION MATCH」で副審も務めた酒井星南(与野3年)が主審を担当。ユース審判員が笛を吹くのは県内初だった。
石黒登(取材・文)
試合結果
三郷北 0(6PK5)0 山村学園
0(前半)0
0(後半)0
0(延前)0
0(延後)0
6(PK)5