[プレミアEAST]「1対1で負けない」。サッカーの『本質』で戦った昌平が市立船橋を振り切り、白星スタート! 新体制初陣を飾る
新体制の昌平が白星スタート! 高円宮杯 JFA U-18サッカープレミアリーグ 2025 EASTは6日に第1節2日目を行い、昌平はホームで市立船橋と対戦。1-1で向かえた後半45分、U-16日本代表の大型ルーキーFW立野京弥(1年)の決勝ゴールを決めて、2-1で勝利した。
昌平は昨年高校総体優勝に導いた玉田圭司監督(現名古屋コーチ)が退任し、今年度から長野の公立校・市立長野を率いて、2度の高校総体、1度の選手権出場に導いた芦田徹監督が就任した。
そのスタートのメンバーにはGK小野寺太郎(3年)、右SB安藤愛斗(3年)、CB伊藤隆寛(3年)、CB高橋心晴(3年)、左SB森井智也(3年)、ダブルボランチにMF遠藤佑太(3年)とMF人見大地(2年)、2列目は右からMF高江洲春虎(3年)、U-17日本代表10番MF山口豪太(3年)、同じくU-17日本代表のMF長璃喜(3年)、そして1トップには立野が入った。
芦田監督は先月のJ-VILLAGE CUP U-18を2試合視察し、練習については2週間前に見始めたばかり。「やっぱりまだできないことが目についている中で、できることは、何かと言ったら、やっぱり我々は1対1で負けちゃいけないよっていうことだし、やっぱりベースのところで相手よりも走らないといけないし、コンタクトで簡単に負けちゃいけないよっていうところのサッカーの本質みたいなところ。やっぱりゴールを目指し続けなきゃダメだし、最後身体を張って守らなきゃダメだよねっていう、この本質の部分はこの2、3日は言ってきました」という。
その中で「相手ゾーンにボールがあって、ペナルティの近くにボールがあるとアイデアがあって、ゴールに進める選手たちがいるので、そこはいままでの蓄積の部分でフィニッシュまで行こうと話してスタートした」というチームは立ち上がりから相手コートに押し込んでプレーする。
前線では入学を控えた新1年生の立野が存在感を発揮。市立船橋の守備陣に対し、時には2対1になりながらもボールをきっちりと収め、そこからの持ち出しでもチームに勢いを与えていた。2分に立野が単独で迫り、4分には長が切れ味の鋭いカットインシュートでゴールを狙っていく。9分には山口の右CKから立野が183cmの長身を生かしたヘディングでゴールに迫った。
相手に押し返される時間もあったが、36分、山口が左サイドで仕掛けてマイナスクロスを送ると、これをファーストタッチでうまくコントロールした高江洲が左足で奪って先制した。沖縄出身の高江洲はこの日が誕生日。ゴール後には応援団からハッピーバースデーの歌で祝福された。
後半も昌平がゴールに迫る形を作り、7分に前線でボールカットした立野が決定機。さらに8分には森井のパスを受けた山口が右足シュートで狙ったが、ここはキーパーの好守に阻まれた。
26分には先制弾の高江洲を代えてFW齋藤結斗(3年)を投入し、山口がトップ下から右サイドにスライド。29分、山口が十八番の右斜め45度から狙ったシュートはわずかに外に外れた。
中盤以降は疲れもあり、相手に押し込まれるシーンも。昌平は奪ったボールを繋げず、相手ゾーンでプレーできない時間が続いた。その中で連続してピンチを迎えると、36分、右CKをクラブ与野出身の186cm CB森本陽太(3年)にヘディングで決められ同点に追いつかれてしまう。
勝ち越しを狙う昌平は40分、長が立野とのパス交換から惜しいシュート。43分には山口が仕掛けからのシュートがクロスバーに弾かれた。このまま同点で終わるかと思われたが、45分、敵陣中央でボールを持った山口がゴール前に浮きパスを送ると、これに抜け出た立野が右足ボレーで流し込んで劇的決勝ゴール。2-1で勝利した昌平が見事、芦田監督体制の初陣を飾った。
芦田監督は「後半は苦しい時間が10分以上続いてしまった中で、やっぱりセットプレーについてはまだまだ隙や甘さがあったと思う。ただ、本当に取られてからもう一回、下を向くことなく取りに行けたことはすごく大きかったと思いますし、最後のところなんかのマインドはやっぱりここ数日でもかなり前向きに変わってきている部分はあるんだなと思いました」と語った。
市立長野を着任13年で県内の強豪に育て上げた指揮官は「もともと自分は本当に雑草魂ですし、どちらかというと弱者の発想でサッカーをやってきたつもり。こういうところで自分がサッカーに携わるっていう絵は自分の人生の中ではなかったんですけど、でもいま子供たちを見ている感じでは、自分だから、その弱者の発想であるからこそ、彼らに足りないものを植え付けられるんじゃないかっていうところは正直この2週間で感じているところなので、自分にできることを徹底的に伝えていきたいなと、こだわりをもって伝えていきたいなと思います」と話す。
市立長野ではローテーションなどを駆使しながら、連動性のある攻撃サッカーを作り上げた。
「やっぱり時間はかかると思うし、それがフィーリングでやれる部分もあるんです、彼らは。だから全部が全部悪いわけではないんですけど、でもやっぱりまだまだ論理的にサッカーを進める、ロジカルにサッカーを進めるっていうところに関しては、まだまだ不足している不足している部分があるんじゃないかっていうことは感じています。ただここは本当に時間がかかるし、自分がいまやっていることを語れるようになるっていうのはとても時間がかかると思っている」
「ちょっともう一回本質の部分でやりながらだと思っていますし、でもサッカーから外れていないと思うので、やっぱりそこの部分で本当に少しずつかなと思っています。でも、本当にピュアで前向きで素晴らしい選手たちがいるので、それは取り組むやりがいを感じています」。チームに新しい価値観をもたらす指揮官のもと、今年は昌平にとって進化のシーズンとなりそうだ。
石黒登(取材・文)
試合結果
昌平 2-1 市立船橋
1(前半)0
1(後半)1