[選手権]正智深谷が8年ぶりの冬の全国で初戦飾る! 次戦はプレミア東福岡が相手も「サッカーは実力で必ず勝つとは限らない」。粘り強いサッカーで強敵撃破狙う

正智深谷が8年ぶりの冬の全国で1勝! 29日、第103回全国高校サッカー選手権大会の1回戦が行われ、正智深谷は2-1で長崎総合科学大附(長崎)に競り勝ち、2回戦進出を決めた。

「守備の部分も県大会同様、粘り強い守備をやってましたし、攻撃についても縦につけて、もっともっと攻撃陣は真ん中でタメを作って多彩な攻撃もしてほしいなというのもあったんですけど、それを狙いながら初戦にしてはよくやったんじゃないですかね」(正智深谷・小島時和監督)

攻守ともにやりたいことを見せた正智深谷が8年ぶりの選手権勝利を飾った。前半は押し込まれることが多かったが、佐藤飛友、岸田永遠(ともに3年)のCBコンビを中心にしっかりと跳ね返し。前半13分には2度続けて決定機を作られたが、守護神の森穂貴(3年)が立ち塞がる。

1本目のミドルシュートは、やや判断が遅くなったことを反省したが、難しい対応だった中で指先に当ててクロスバーに逃れると、さらにこぼれ球にも詰められたが、「自分はセカンドボールの対応は課題だったので、練習でやってきた起き上がるところの速さが出て良かったです」を素早く立ち上がりビッグセーブ。県予選でも大活躍だった守護神がこの舞台でも強さを見せる。

その後も粘り強く守ると、均衡を破ったのはやはりセットプレーだった。この試合最初となった36分、37分と連続してコーナーキックを迎えると、県でも得点源となっていたDF鹿倉颯太(3年)の右CKから「もう自分が思い切っていくっていう想いでしっかり入れた」というMF小西聖七(3年)がニアですらしてゲット。鹿倉が「完璧でした」と言えば、小西も「鹿倉くんがドンピシャだったのでしっかりミートできた」と話すカムイJYコンビの連携から先制点を奪う。

前半ラストプレーで失点し、ゲームを振り出しに戻されたが、チームにはそれほど動揺はなかったという。後半は「選手権は(延長なしの)短期勝負。攻撃に力のある選手を長く使いたい」(監督)とスタメン起用されたMF白岩龍(3年)が自慢の突破からいきなり良い形を作り、3分には右SB外山達也(3年)のクロスからFW近藤亜漣(3年)がヘディングシュートで惜しい場面。また、「運動量があるので、そういうところでチャンスを作り出すのが役目。よくやっていたと思います」と指揮官も話すMF吉田匠吾(3年)がエリア内に潜り込みチャンスを作った。

すると13分だ。鹿倉の縦パスを吉田がポケットの位置で受けると、ゴール前に空いたスペースに走り込んだのは10番のMF近藤七音(3年)。「県予選では自分は何もできていなくて、結果を残していなかったので、まずは自分が個人として結果を残すっていうのは目標にしていた」と話すエースは横パスを受けると右足を強振。キーパーの手を弾きながら貴重な追加点を奪った。

勝ち越し後には選手を入れ替え、3バックに変更。長崎総科大附は終盤、レジェンド熊谷育ちの長身CB島田俐亜武(3年)を前戦に上げてパワープレーを狙ってきたが、森がこの日もクロスに対して最後まで絶対的な強さを見せるなど、最少失点で抑えきり、8年ぶりの勝利を掴んだ。

2回戦は尚志(福島)とのプレミア対決を制した東福岡(福岡)が相手。小島監督は「厳しいですけど、サッカーは実力で必ず勝つとは限らない。日本代表だって、スペイン、ドイツを破って予選突破してますから、そういう意味では戦ってみないと分からないものがあるので、向こうの方が上かもしれないですけど、チャレンジャー精神でいって、埼玉県代表として勝つということは、今日1試合勝てたので、もう少しもっと気が楽にいけると思うので、頑張りたいと思っています」と意気込みを語った。次も正智深谷らしく、一致団結、粘り強く戦い、勝利を掴み取る。

石黒登(取材・文)

試合結果

正智深谷 2-1 長崎総合科学大附
1(前半)1
1(後半)0