[総体予選]西武台が3試合連続の接戦をものにし、全国へ王手!正智深谷にPK勝ち

接戦を制し、夏の全国に王手。令和6年度全国高校総体サッカー大会埼玉県大会は12日にNACK5スタジアム大宮で準決勝を行い、西武台と正智深谷が激突。1-1からのPK戦の末に西武台が接戦を制した。西武台は2019年以来となる全国大会出場をかけ、16日の決勝で昌平と戦う。

苦しみ、もがきながら、ここまでたどり着いた。西武台は今季プリンス関東2部で第2節から4連敗。さらにFW遠藤秀悟(3年)が第6節の桐光学園戦で右膝前十字靭帯を断裂するアクシデントも。その中で今大会は繋ぐスタイルから縦に速いスタイルにシフトチェンジ。「走る」「闘う」「決めきる」「ボールを奪える」という本質に戻った西部の雄が3試合連続の接戦をものにした。

前半優勢に進めたのは正智深谷だった。開始5分でMF吉田匠吾(3年)が負傷離脱する想定外の出来事もあったが、「ほぼ全部の面で相手が上手だった」(森)という新人戦から成長を見せる。

18分に左サイドからDF鹿倉颯太(3年)が強烈なシュートを放ち、19分にはMF赤川空音(3年)のシュートがクロスバーを強襲。43分には右サイドのMF白岩龍(3年)のクロスからFW中島亜漣(3年)がダイビングヘッドで狙ったが、惜しくも枠を捉えきることができなかった。

西武台は前半、狙いとするカウンターがうまく機能しない部分もあったが、右サイドでスタートしたFW藤木浩人(3年)を中央に戻すと、藤木やFW緑川梗雅(3年)がポイントを作りながらFW鈴木洸晴(3年)が徐々に上がるシーンも。守備の部分ではU-17日本高校選抜DF谷口輝(3年)主将を中心にしっかり跳ね返しつつ、「距離感を意識した」と話すMF宇野大稀(3年)、10番MF石井汰一(3年)がプレスバックしながら相手のキープレーヤーに対応する。

西武台は後半頭からこの日ベンチスタートだったFW竹内奏海(3年)、FW太田和希(2年)を投入しギアを上げる。竹内がドリブル突破や抜け出しを狙い相手を攪乱。7分には鈴木洸の右クロスからヘディングで迫る。18分には太田のクロスから藤木のヘッドは右ポストに当たった。

正智深谷は26分、10番MF近藤七音(3年)の持ち出しからDF長南結人(2年)のクロスにファーサイドで途中出場のMF高野大輝(3年)がボレーで合わせたが、ポストに嫌われた。

34分には近藤のスルーパスからFW渡辺拓海(3年)が抜け出しを狙ったが、西武台はGK松田聖也(3年)が好守。逆に西武台は39分、太田のクロスから竹内が決定機。しかし、ここは正智深谷GK森穂貴(3年)が止め返す。西武台は41分、太田がミドルシュートを狙ったが、正智深谷はDF外山達也(3年)がカバー。互いのプライドをかけた試合は延長戦に突入した。

すると延長前半3分、ついにスコアが動く。DF鈴木煌平(2年)のフィードを竹内が頭でフリックすると鈴木洸が抜け出し。「なかなか自分のところにもボールがこなかったので、ああいう1本しかないかなと思った」(鈴木)。最後はキーパーとの1対1を冷静に沈めて均衡を破る。

これで決まりかと思われたが、正智深谷もここから驚異的な粘りを見せる。11分、鹿倉のフリーキックがクロスバーをかすめる。刻一刻と時間が経過していく中で延長後半7分、鹿倉の右コーナーキックにMF坂井直人(2年)がヘディングで沈めて土壇場で試合を振り出しに戻した。

PK戦は先行・西武台のキックを森が止めれば、その裏、今度は松田が止め返す一進一退の展開に。勝負が動いたのは4本目。松田が右に飛んで足に当ててセーブ。「応援団のみんなとかが、自分がPKに入る前に毎回「止められる」「止められる」っていう言葉を言ってくれてそれが力になった」(松田)。最終キッカーの鈴木洸がきっちりど真ん中に蹴り込み、激戦をものにした。

決勝の相手はプレミアEAST3位の昌平に。谷口は「西武台に入ったのは、やっぱり昌平を倒すために、昌平を倒して全国に行くっていう気持ちを持って入ってきた。その中で努力してきた3年間なので、しっかり後悔のないよう、最高の仲間たちと、最高のグラウンドでやれるので、チーム一丸となって全力で戦って、絶対に勝ちたい」と意気込み。苦しみながらも、もがきながらも、その中で成長してきた西部の雄が最強のライバルを下し、5年ぶりとなる夏の全国を決める。

石黒登(取材・文)

試合結果

正智深谷 1(2PK4)1 西武台
0(前半)0
0(後半)0
0(延前)1
1(延後)0
2(PK)4