[総体予選]自陣に築いた「赤い壁」 浦和東が関東予選準V成徳深谷をシャットアップして8強に

令和6年度全国高校総体サッカー大会埼玉県大会は8日に3回戦を実施。成徳深谷と対戦した浦和東は、試合終了間際のFK福島蒼介(3年)のゴールで関東予選準Vの相手に競り勝った。

自陣に赤い壁を築いた。浦和東・平尾信之監督は「うちはこんな勝ち方しかできないです」としつつ「子供たちはよくやってくれた。応援も含めてザ・浦東という試合だった」と話した。

ともに今季は5バックを採用(浦和東が5-3-2、成徳深谷が5-2-1-2)。さらにどちらも粘り強い守備とセットプレーを持ち味とする両校の試合はやはり1点を争う展開となった。

立ち上がりは浦和東が圧を持って攻め込むも、成徳深谷も今季初対戦の相手との戦い方に慣れた中盤以降は押し返すなど、前半はイーブンといった展開に。後半の立ち上がりは逆に成徳深谷が圧を強め、5分にはMF稲積俊音(3年)が果敢に持ち出してミドルシュートで狙っていく。

それでも浦和東は今季スタートからでは初めてだった石﨑陽太郎(3年)、小川涼翔(3年)、岩井友佑(3年)、菅野琉(3年)、大木成拓(3年)の5バックを中心に、MF新井孝平(3年)も戻りながら粘り強い守り。GK鳥海伯(3年)も相手のクロスボールに的確に対応していた。

守備でリズムを作ると浦和東は11分、10番のMF田中涼賀(3年)のフリーキックからMF林直孝(3年)がシュート。これはライン上でクリアされたが、こぼれ球をFW福島蒼介(3年)が狙う。中盤以降は浦和東が盛り返し、石﨑のロングスローやセットプレーからゴールに迫った。

成徳深谷は終盤、この日ボランチで起用されたDF増田蹴人(3年)が絡む形で連続して決定機を作る。36分、エリア右で1枚剥がし最終パスからMF朝鳥真大(2年)が狙うが、浦和東は好守備を見せていた岩井がブロック。37分には増田のミドルシュートが左ポストを強襲した。

すると浦和東は40分、林の左クロスにファーサイドに回り込んだ福島がヘディングで合わせてゲット。そしてこれが決勝点となった。2回戦のふじみ野戦でも決勝ゴールとなった先制点を記録した福島は「自分が決めて、この試合のエースになりたいと思っていた。(後半は応援団の前でプレーする中で)背中にみんながいるみたいな感じでプレーできた」と最高の笑顔を見せた。

大会前のリーグ戦では西武台Ⅱや埼玉平成に4失点を喫するなど、守備は決して良い状態ではなかったが、指揮官も「頼もしくなった」と話すようにトーナメントの中で成長しながら3試合連続のクリーンシート。昨年はFWとしてもプレーし、フィールドの「30」のユニフォームも用意されているという“二刀流”の鳥海は「中盤もヘディングで跳ね返しながら、後ろもセンターバック5枚でしっかりと声を掛け合って、『赤い壁』を作れたんじゃないかと思います」と力強く語った。

石黒登(取材・文)

試合結果

浦和東 1-0 成徳深谷
0(前半)0
1(後半)0