さいたま市新人体育大会 3位決定戦 土合 vs 南浦和
さいたま市新人体育大会最終日が5日、RHF駒場で開催された。決勝に先駆けて行われた3位決定戦は南浦和中学校と土合中学校が対戦。試合は2度の先行を驚異の粘りで跳ね返した南浦和が3ー2で逆転勝利を収めた。3位南浦和、4位土合は11月の県大会に出場する。
先制したのは昨年の県大会覇者・土合。前半14分、相手守備の隙をついたMF幣原秀斗が前線でボールをさらうと、そのまま左足でゴール左隅に豪快に蹴り込んで試合を動かした。
一方、序盤は固さのあった南浦和もすぐさま修正する。前半16分のFW秋本翼のシュートは枠を外れたが、その直後に再びチャンスを迎えると今度はエースが確実に決めてみせた。19分、右からの展開からペナルティーエリア前で混戦が生まれると「今日は先に、先に動き出すことを意識していた。味方を信じて裏に抜け出した」秋本が左足で蹴り込んで同点とした。
その後も南浦和は左右中央と顔を出す秋本、MF余田啓太らを中心にアタックを仕掛けていく。追加点こそ生まれなかったが、同点ゴール後は主導権を握って前半を折り返した。
後半も良い入りを見せたのは南浦和。しかし土合も徐々に押し返すと17分に再び勝ち越しに成功する。右サイドからボールを受けたMF小林翼がペナルティーエリア外から右足を一閃。南浦和GK小淵裕登もこれに反応したが、ボールはその手をかすめてゴールに吸い込まれた。
残り10分で1点のビハインド。それでもここから南浦和が驚異の粘りを見せる。後半24分にゴール左前方でフリーキックを獲得するとキッカーは左右両足の正確なキックを持っている秋本。先制点とは逆足の右足から放たれたボールがこぼれたところを、ハーフタイムに「点を狙え!」と送り出されたという1年生FW若松優大が押し込んで再びスコアをタイに戻した。
さらに後半28分には秋本の右コーナーキックに若松が173cmの長身を生かしたヘディングを合わせる。「当たった感触はあった」ものの「個人的にはよくわからない感じだった」というが、ゴールに吸い込まれたボールを確認するや両の拳を握りしめた。これが決勝点となり3ー2で南浦和が土合に逆転勝利。3位で市大会を終え、いよいよ県大会に挑むことになった。
尾間木中学校で関東、全国大会を経験している神立朋次監督がやってきたのが昨年4月。今年の世代は担任も務めており、入学時から見ている学年だ。全国出場を掲げる尾間木に対し、そういった経験を持たない南浦和。まったく違う環境の中でトレーニングを重ねてきた。
今大会では準決勝で監督の古巣・尾間木に1ー2と敗れて決勝進出とはならず。それでも準々決勝の白幡中学校戦では終盤まで1点のビハインドを抱えながら主将のDF黒木一真のゴールで同点とし延長戦の末に逆転、県大会行きを確定させた。そして迎えた3位決定戦も2度のリードを許しての逆転勝ち。「これからもこういうことはある。白幡戦もそうだが、(逆境を)跳ね返せる精神力、これを実践で経験できたのは大きい」と指揮官は振り返った。
チームの中心はこの日1ゴール、2アシストとすべての得点に絡んだ9番の秋本。173cmの体躯に加えてスピード、前線での献身性も大きな魅力だが、一番の武器はそのキックの精度だ。「小学校の頃からキックが好きで、ずっとボールを蹴っていました」というキックは左右両足ともに高水準。まだまだ荒削りなところもあるというが、神立監督も期待を寄せている。
「県大会優勝というのを目標にやってきた。しっかり優勝できるようにしたい」と黒木主将。名将の下で着実に力をつけてきている南浦和。11月の県大会での活躍がいまから楽しみだ。
石黒登(取材・文)
試合結果
土合 2-3 南浦和
1(前半)1
1(後半)2