後半クーリングブレイク明けに一挙5得点!エースMF荒井悠汰も復調の気配見せる昌平がド派手な8強入り
令和4年度全国高校総体(インターハイ)男子サッカー競技は26日に3回戦を行い、埼玉県代表の昌平は宮崎の日章学園に6-2で逆転勝ち。28日の準々決勝では大津(熊本)と対戦する。
1点ビハインドの後半クーリングブレイクから一挙5得点で逆転し、ド派手なベスト8入りだ。
藤島崇之監督は「後半に入ってなかなか厳しいゲーム展開になりましたけど、給水明けのところからやる方向性を変えたというよりも選手が変わって、その中でエネルギーを持って行ける状況もあった。それが点に繋がったというのがまず一番良かったと思いますし、交代選手でゴールに向かえたというところ、その積極性と「自分が取ってやろう」という気持ちが見られましたし、その中にクオリティーの部分もしっかりと良い形が出たのが勝因かなと思います」と振り返った。
昌平は前半から多彩な攻撃で攻め込むと17分、2回戦の星稜戦の後半にも好突破を連発していた左SBの武村圭悟(3年)がDF2枚の間を割ってエリア内に侵入したところで倒されてPKを獲得。これをFC東京内定の10番MF荒井悠汰(3年)がきっちりと蹴り込んで先制した。
しかし、対戦相手の日章学園も全国の16強に進んでくるチームだ。直後のクーリングブレイクでしっかりと修正。全体をコンパクトにし、昌平のボール保持に対して激しくプレッシャーをかけ、ボールを奪取する機会を増やす。すると前半29分、一瞬の隙を突かれ、得点を許した。
後半もボールを保持しながら進めようとするが、相手の積極的なプレッシングもあってなかなか中に入っていくことが出来ない。そんな中で15分に決められ、ついに逆転を許してしまう。
直後の後半16分に中盤でボールを持ったMF篠田翼(3年)がスピードに乗ったドリブルで単騎で仕掛け、17分にはFW小田晄平(2年)が右足シュートで狙ったが、惜しくも枠を逸れた。
試合は1点ビハインドで2度目のクーリングブレイクへ。それでもチームに悲観的な雰囲気はなかったという。MF長準喜(2年)は「誰ひとり下を向かなかった。プリンスでも0-2から10人で2-2に追いつくことがあった」というように全員に逆転出来るという自信があった。
するとこのタイミングでベンチも動く。CB明けの後半23分にMF佐藤海空斗(3年)に代えてMF佐々木小太朗(3年)を投入。長がボランチにスライドし、左サイドに佐々木が入った。
14番の投入について指揮官は「推進力もありますし、ディフェンスのうまさもある。ゴールに行くという状況もそうですし、彼の切り替えの速さでボールを奪いに行く」狙いがあったと話す。
するとこの交代がピタリとハマり、攻撃のギアが一気に上がる。再開直後の後半23分、小田のポストプレーから篠田が右足を振り抜いてまずは同点に。さらに24分、GK上林真斗(3年)からのロングボールを再び小田が的確に落とし、これを佐々木が決めて逆転すると、佐々木はその2分後、篠田からの縦パスに小田が動き出したスペースに走り込んで滑り込みながら決めて、出場わずか3分で2ゴールをゲットし起用に一発回答。チームを大きく勝利の方向に近づけた。
後半30分にはエース荒井が左足で豪快なゴラッソを突き刺すと、34分には荒井がキープしそれを追い越す形で前に出た篠田がこの日2点目となるゴールでダメ押し。一時は逆転を許したものの、後半のクーリングブレイク明けに一挙5得点を奪った昌平がベスト8進出を決めた。
3試合を終えてゴール数は「12」を数える。初戦を終えて主将のDF津久井佳祐(3年)は日本一を狙うために、この3連戦を“順調に”勝たなければいけないと話していた。もちろん3失点は反省するところだとして、この数字はその目標を狙えるチームだと証明出来たのではないだろうか。また、大会序盤は重さもあったという荒井も復調の気配を見せていることは好材料だ。
豪快な逆転劇の勢いに乗って、いざ準々決勝へ。相手は昨年度の選手権準V、注目FW小林俊瑛(3年)を擁する大津に決まった。藤島監督は「これが勢いになったと言えるように、良い準備をしていきたい。大津さんもすごく素晴らしいチームだと思うので、そこに対して自分たちが出来ることだったり、『昌平らしさ』を出すというところを強調しながらやれたら」と話していた。
ちなみに3回戦の会場には、FC LAVIDAの出身で強豪・瀬戸内(広島)に渡ったGK大木泰季(3年)の姿も。瀬戸内は2回戦で大津に敗れ、残念ながら同門対決は実現しなかったが、盟友の上林らに激励を送っていた。3度目の4強入りを目指す準々決勝は友の想いも背負って臨む。
石黒登(取材・文)
試合結果
日章学園 2-6 昌平
1(前半)1
1(後半)5