昌平・西村遥己、アルビレックス新潟入団内定記者会見 全文レポート第2弾
14日、昌平高校にてアルビレックス新潟に入団が内定したGK西村遥己の入団内定記者会見が行われた。第1弾に続き、第2弾では“ラストチャンス”で運命を切り開いた高知キャンプでの話や藤島崇之監督や本間勲スカウトも絶賛するメンタリティの話など、より細かい話を訊いた。
ラストチャンスで掴み取った新潟内定
―高知キャンプは高卒プロへの“ラストチャンス”だったと思うが、どういう想いで臨んだか
西村:やっぱりいろいろなクラブの練習に参加させていただいていた時にうまく見せようとか、そういうところの心境があって、あまりうまくプレーが出来なかったところもあったので、とりあえずゲームに入った時はチームを勝たせるというところだったり、自分の後ろにボールがいかないようにするというところを意識してやっていました。
本当に小学生の時から「サッカー選手になりたい」というのは周りには言い続けて、将来の夢を聞かれた時には必ずサッカー選手というのはずっと周りには公言していて、そこで有言実行したいなというのもありましたし、周りでプロサッカー選手になっている人がたくさんいて、やっぱり憧れも持ちましたし、諦めたらなれないものなので、可能性がある限りは最後まで諦めずに追いかけようと思って、この時期までプロを目指していました。
―同級生たちの進路が決まっていく中で心境。内定が決まった瞬間の想い
西村:周りで同級生がプロになった時は悔しいという気持ちがすごく大きくて、やっぱりリリースがあった時とかは自分の中でもどうしたらいいんだろうとか、スランプに入った時期もありましたし、すごく辛い時期もあったんですけど、コーチだったり監督が自分の進路に対してすごく親身になって話を聞いてくれたので、やっぱり最後まで諦めずにやれたことがこの結果に繋がったと思って、本当に良かったと思います。
(内定を聞いた瞬間は)まずホッとしたというか、とりあえず親に報告してあげないとって。心配をかけていたのでそれは思いました。
―新潟はJ2の中でもGKのレベルはかなり高いが、実際にキャンプに参加してみて感じたことは
西村:一番感じたことは当たり前の基準が高いということ。自分が1週間に1、2回出せるかのプレーを毎日継続して出しているというのがすごく衝撃的でした。自分が良いプレーを出せても、プロはもっと良いプレーを練習の中で出している。やっぱり厳しい世界だなというのは感じました。でもそれが自分のモチベーションでもあって、負けたくないなという気持ちはあります。
―先輩GKたちについて
西村:瀬口(拓弥)選手は大ベテランの選手で自分とはかなり年が離れている選手なんですが、プロとしてのキャリアをすごく長く続けている方なので、そういうところでは準備の仕方だったりは見ている中でお手本にしなきゃいけないなというところはあります。
小島(亨介)選手は試合に絡む中での立ち振る舞いが自分にないことだなというのを感じました。プレーの面でもキャッチングのところだったり、自分にすごくアドバイスをしてくれました。
阿部(航斗)選手は(3人のGKの中で)一番近い年で、練習が終わった後も個人的な話とかも聞いてもらったりしていて、メンタリティが強い選手だと思う。新人で2年目から試合に出ていた選手で、自分もその背中を見て、追いかけていかなければいけない立場なので、阿部航斗くんをまずは目標に、追い抜いていけるように頑張りたいと思います。
―キャンプで印象に残ったこと、エピソードがあれば教えてください
西村:練習中で自分がミスをしてしまった時、千葉和彦選手が終わった後に「チャレンジのミスだったら全然良いし、出来なかったことが出来るようになるということが良いこと」みたいな感じのことを言ってくれて、とてもチャレンジしやすい環境に身をおけるなと思いました。
―昌平高OBの小見洋太先輩は
西村:小見選手はやっぱり練習参加すると言った時もあまり驚きもせず(笑)。内定を伝えた時も「あっ、そうなんだ」みたいな感じだったので、本当に変わらないなという感じではあったんですけど、いろいろわからないことだったりを教えてくれた。社会人になるということで礼儀の部分であったり、先輩に対しての行動だったり、言動だったりというのは最初にあった時に教えてくれて、そこが出来たからこそうまく最初にチームに馴染んでいけたかなと思います。
藤島監督、本間スカウトが絶賛するメンタリティ
―藤島監督に。西村くんがこの3年間で一番成長した部分、また人間性の部分について
藤島:中学校2年生からキーパーを始めて、我々もこれからの将来性を見込んで高校でという話をさせてもらった時にも、やっぱり能力的な高さというのをもちろん兼ね備えていましたけども、逆に能力は高いんですけども、基本的なスキルの部分がまだまだ足りないというところも正直なくはなかったという部分はあります。その中で高校2年生の時にレギュラーポジションを掴んでからは日に日に良くなっていった。これに関しては本間スカウト、西村も話していますけども、やっぱり「絶対負けたくない!」とか、そういった強いメンタリティの芯の部分というのを常に持ち合わせている選手だなというふうにも思っています。
あとは普段のトレーニングレベルにおいても1本、1本のシュートに対してもやっぱり想いといいますか、「絶対に決めさせない!」という本当にそういったプレーの質にこだわるというところに関しては、それを前面に押し出せる、そういった意味で良い影響をチーム全体に与えられる選手だというふうにも思っています。もちろん自分自身がビッグセーブをして勝つことでチームに活力を与えたいというところもすごく感じますし、本当にそういった部分でチームを引っ張っていける存在であり、今年は副キャプテンという立場でやってもらいましたけども、その中でもリーダーシップを持ってしっかりと頑張ってくれた選手です。
性格は本当に物怖じしないというか、良い意味でどんなシチュエーションでも力を発揮出来る。ということは逆に言えばいろいろな意味でコミュニケーション能力が高いという部分で先程も話をさせていただきましたけども、大人としっかりと会話が出来て、その中でしっかりと言葉でも表現出来るというのがすごく強みかなと。もちろんその中に明るさもありますし、自分自身でしっかりと考えるというところも出来る選手かなと思っています。いままで何回か会見をさせてもらっていますけども、しっかり話せる方だなと思いながら聞いていました(笑)。
―本間スカウトに。西村君が実際に高知キャンプに参加した時の印象は
本間:藤島監督もおっしゃっていましたけど、コミュニケーション能力がすごく高いなと。初日緊張もある中でパッと入って、もう馴染んでいるなというのがすぐにわかった。トレーニングの最初はキーパー4人でウォーミングアップをしますけど、その中でももう2日目くらいからはだいぶ前からいるんじゃないかなというくらい打ち解けていて、「馴染みすぎてるな(笑)」なんていうことも声をかけさせてもらったくらい。その中でただ馴染んでいるだけではなくて、やっぱりアピールしようということも前面に出してくれてやってくれたと思いますし、キャンプを通して本当に良いパフォーマンスを出してくれたかなと思います。
―どういった選手になっていってほしいか
本間:彼の持っているシュートストップ、スピード感、あとは足下の技術。特にうちのクラブとしてはゴールキーパーを起点として、足下のビルドアップのところをすごく求めてチームとしてやっているので、シュートストップのところもそうですし、その中で起点になれるような、最後尾からのロングボールもそうですし、ミドルパスを使いながらそこから攻撃がスタートするようなゴールキーパーになってもらいたいなと思っています。
支えてくれた仲間たち、指導スタッフの存在
―昌平高校での3年間で一番得たものは
西村:最初は試合に出られない時期が続いていましたが、高校2年で自分が4番手だった時、すごく苦しい想いをしていた時、やっぱり仲間が一緒に練習してくれたり、練習が終わった後に自主練で長い時間一緒に付き合ってくれる仲間がいた。やっぱり仲間と高め合うことがすごく大事だなと思って、仲間はすごく一生大事にしていかなければいけないものだなと感じました。
―加藤大地GKコーチから一番何を教わったか
西村:加藤コーチからは「重心はみぞおち」というのを教えてもらいました。ほかのキーパーというのはお尻の筋肉だったりで自分の体重を支えていたりするんですけど、僕は低く構えるのではなくて、スッと立って、みぞおちに重心がある状態でボールに頭を合わせるというセービングを意識していて、そこは一番練習中にも言われていました。
―プロとしてのキャリアが始まるが、自分の強み、どんなところをアピールしていきたいか
西村:僕の一番の特徴はシュートストップです。試合の中でシュートストップをすることによって試合の流れを大きく変えて、チームを勝利に導くことが自分の中で強みだと思っています。
石黒登(取材・文)