「チーム力は昨年よりも上」昌平がインターハイ全国大会で頂点を目指す。

昨年は初出場ながら東福岡高校、静岡学園高校などを下しベスト4入りを果たした昌平高校。今年は堂々優勝候補の一角として全国制覇を見据えてインターハイを迎える。

なにしろ新チームは県内外で抜群の強さを示している。新人戦は決勝で正智深谷高校を延長戦の末に下して連覇。関東予選も制して県内2冠目を獲得した。本大会では初戦の日体大柏高校(千葉)戦こそ先に2点を奪われる苦しい展開となったが、DF関根浩平の2ゴールなどで劇的な逆転勝ちを収めると準決勝、決勝も勝って、関東大会初制覇を飾った。

そして迎えた先月の全国高校総体・埼玉県予選では3回戦から登場すると、準々決勝の埼玉栄高校戦こそ苦戦したものの、準決勝ではFC東京に強化指定選手として加入した注目FW田中和樹らタレントを要する浦和学院高校に対し、経験値の差を見せつけて6ー0で勝利。決勝では浦和西高校を4ー1で破り、第一代表としてインターハイの舞台に帰ってきた。

MF山下勇希選手

キーマンは中盤底でタクトを振るうMF山下勇希。関東本大会では初戦で負傷して準決勝、決勝とベンチから見守ることとなったが、その悔しい想いを晴らすべく臨んだ総体予選では準々決勝の埼玉栄戦でチームの悪い流れを変える同点ゴールをマーク。準決勝、決勝でもドリブルや決定的なラストパスなど積極的なプレーでチームの優勝に大きく貢献した。

昨年は左サイドハーフとしてインターハイを経験。「去年は針谷(岳晃)先輩や松本(泰志)先輩とか、先輩たちに引っ張られていた立場だったということは自分でも認識している。今年は自分がボランチに入ってチームをコントロールするぞというのは常に意識してやっています。チームの流れが悪い時に自分のプレーで状況を変えられたら」と山下。

針谷や松本は同舞台での活躍でプロ入りのきっかけをつかんだが、「自分もプロになるためにここまでサッカーをやってきた。ボランチの位置から点を取って他のボランチとの違いを見せたい。その結果自分が一番だというところを見せられたら、その2人みたいにもっと上のステージでやれるんじゃないかと思います」と本大会に向けての意気込みを語った。

MF原田虹輝選手

また今年は山下以外にも中盤にタレントが多い。3列目でバランスをとりながら機を見た飛び出しで攻撃にダイナミズムを生む原田虹輝に加え、2列目には成長著しい10番の渋屋航平、得点能力が高いマルチーロールの古川勇輝、切れ味鋭いドリブルで藤島崇之監督も「面白い選手」と語る髙見勇太が並ぶ。控え組もスタメン組と遜色ないメンバーが揃っており、(藤島監督)だ。選手によって戦い方を変えられる柔軟性もある。

FW佐相壱明選手

献身性と得点能力を併せ持つエースの佐相壱明もキープレーヤーのひとり。「献身的に走って裏を取る動きを交えながらじゃないと、背負ってからの反転や得意なプレーが生きない」と初心で挑んだという総体予選では厳しいマークに遭いながらも、献身的に何度も動き出しを重ねながら味方のプレーをアシスト。決勝戦ではその動きからハットトリックを達成し、さらに相手にとって怖いFWとなった。本大会では「毎試合2得点以上」を目指して得点王を狙う。

GKGK緑川光希選手

そして忘れてはならないのが守備陣の存在だ。GK緑川光希、DF石井優輝、関根のセンターラインは昨年も主力としてプレー。指揮官からの信頼も厚い。藤島監督は常々「(失点)0ベース」を掲げてきた。昌平の攻撃的なスタイルは安定感抜群の後ろがあってこその形だ。総体予選ではやや入りに不安を見せたが、本大会には間に合わせてくるだろう。塩野碧斗、堀江貴大の両サイドバックを含めて今年は昌平高校のディフェンスラインにも注目だ。

(取材・文)石黒登