クラセン後に加わったラストピース。三郷JrはFW佐藤大心が2試合連続の決勝ゴール!
クラセン後チームに加わったラストピース。FW佐藤大心(3年)が2戦連続で勝負を決めた。
川口西中との高円宮杯・県代表決定戦。三郷Jrは後半32分、左サイドからDF會田遥琉(3年)がロングスローを放ると、ニアで仲間が競ったボールがゴール前へ。「あの瞬間はもう決めるという気持ちだけしかなかった。来た瞬間に合わせて「入ってくれ!」という願いを込めて打ちました」。するとその“願い”の乗ったボールがゴールネットに突き刺さり、これが決勝点になった。
実は準決勝の川口東中戦でも、終了間際に決勝ゴールを決めていた。今大会“持っていた”MFに対し、福田貴司監督も「彼自身、『俺が取らなきゃ』という強い想いが常にある子。狙いのあるところにスッと潜り込むところは大した感性だと思います。非力でスピードもない子なんですけど、最後まで粘り強く彼を信じて良かった」という16番が、その信頼にしっかりと応えた。
そんな佐藤だが、春まではベンチを温めることが多かったという。当時のチームは中盤フラットの4-4-2を採用しており、彼の生きるポジションはなかった。その時は「本当に悩んでいた」と言い、挫けそうな時期もあったというが、周りの人たちからの「ここで折れたらもったいないよ」の言葉に奮起。「悔しい気持ちを努力する糧に変えて」練習に臨み、選ばれる瞬間を待った。
潮目が変わったのがクラブユース選手権・関東大会後。攻撃力アップを掲げたチームはそれまでの中盤フラットの形から、1ボランチの形に変えて、それまでなかったトップ下のポジションを創出。するとここで生きたのが佐藤だった。もとより「ずっと良いものはあった」(監督)選手。中盤でパスを散らしながら、「僕は得点に関わるような仕事をするために、トップ下にいます」と断言する得点へのこだわりで、2列目から1列目に怖がらずに飛び出していくという新たなカラーを注入。そしてこの大舞台で2戦連続の決勝点を挙げ、チームを初の高円宮関東に導いた。
コウチーニョが好きで彼の動画を見るのが試合前のルーティン。「コウチーニョ選手みたいに自分でも前に行けて、周りも使えて、チームを勝たせられるような選手になっていきたい」という三郷Jrのラストピースは、関東でもゴールや決定的なアシストでチームを勝利に導く構えだ。
石黒登(取材・文)