「もっと振れ」意識して2ゴール! 西武台FW丸山実紀が山梨学院戦で圧巻のパフォーマンス

指揮官やコーチから言われていた「もっと振れ!」を意識して2つのゴラッソ。西武台の“9番”FW丸山実紀が、関東大会1回戦の山梨学院戦(4-2○)で圧巻のパフォーマンスを披露した。

まずは前半3分、敵陣で身体を寄せてボールを奪取した丸山は「最初だからもう縦に行こうと思った」。縦への仕掛けから最近のチームに足りていなかったペナルティーエリアをえぐるプレーを見せると、練習通りだというマイナスのクロスからFW市川遥人の先制ゴールの起点を作った。

そして圧巻だったのが後半の2ゴールだ。1-1で迎えた11分、セットプレーのこぼれ球に「ズドン!」という音の聞こえそうな強烈な右足ボレーをクロスバーの下に当てながら突き刺して勝ち越し弾。さらにアディショナルタイムにはMF吉野光のカットから抜け出すと、再びクロスバーに当てながら右足で豪快にネットを揺らした。どちらも「振り抜いて」のゴールだった。

実は得点はいずれも「いままでだったら打っていなかった」シーン。これまで同様の場面ではパスやドリブルを選択することが多かった。「監督とかコーチにも「もっと振れ」と言われていて、それが頭にあって思い切り打つことが出来た。いつもだったら出来ていなかったと思います」。

守屋保監督からは「45度に入った時にはシュートで終わるか、コーナーを取るというのが絶対的なサイドの選手」と釘を押されていた。また関根雄太コーチからはチームとして「ミートする」ことを課題に挙げられ、練習にも取り組んでいたが、その両方が生きたゴールに丸山も「ずっと結果が出ていなかったので、2得点という結果を出せて嬉しい」と満足そうな笑みを浮かべた。

県予選では優勝という結果を残した中で個人としては「全然手応えがなくて、正直1点も決めていないし、調子も良くなかった。自分の持ち味であるドリブルとかも全然うまく出来なくて、クロスも全然出来なかったり、すぐに交代したりでうまくいかなかった」。県では10番を背負ったが、本大会は県大会で活躍した市川が10番となり、丸山は9番に。それでも「10番はちょっと重みがあったので、正直9番になって良かったなというふうに思っています」と背番号の重圧から解放されたことが固さのないプレーに繋がり、それが結果にも結びついているという。

武器としているドリブルに加え、専攻するコースでは1位という学力を持ち、状況判断に優れた非常にクレバーな選手でもある。同じ右サイドでコンビを組むDF原田蓮斗は「守備に関しても戻りも早いですし、的確な指示を出してくれるのでやりやすい」と絶大な信頼を置く。本人は「勉強とサッカーは違うと思っていて、サッカーで賢い選手っているんですけど、自分はまだそっちじゃないなと思う」と分析。そして「もうちょっと相手の裏をかくプレーだとかをどんどんしていきたいなと思います」というようにサッカーにおいても真の意味で「賢い選手」を目指す。

背番号は10から9に変わったが、やるべきことは変わらない。それはチームの勝利に貢献するということ。「(準決勝でも)勝ちにこだわりたい。そのためにまずは得点というところでチームに貢献できればなと思います」と丸山。得点感覚にも目覚め始めている背番号9のサイドアタッカーが準決勝の明秀日立戦でも積極果敢なドリブル突破、そしてゴールでチームを牽引する。

石黒登(取材・文)