「エゴイスト」からチームをまとめる「守護神」へ。中学での3年で心身共に成長したGK嶋田晄樹(南浦和中出身)は鹿島ユースでプロを目指す

4月となりJユースの新加入選手も続々発表となっている。その中で南浦和中出身GK嶋田晄樹は今シーズンより鹿島アントラーズユースでの挑戦をスタートさせている。

187cmの長身を生かしたセーブを持ち味とする嶋田は中学2年時から守護神としてプレー。一昨年は全中にも出場した。昨年は新人戦で南浦和中初の県No.1を獲得した中で学総での2冠、さらには全中での活躍も期待されたが、新型コロナウイルスの感染拡大により大会が中止に。嶋田も前年のリベンジを果たすはずだった舞台がなくなったことでショックを受けたというが、気持ちを切り替え、高円宮杯で関東大会に出場するという新たな目標に向けて歩き出した。

迎えた高円宮杯埼玉県予選。2回戦の相手として上がってきたのは1FC川越水上公園。1年前の高円宮杯1回戦でも対戦し、1-6で敗れていた。「一個上の代の高円は本当に1FCにボロボロで負けて、もう悔しいというよりも自分に呆れたというか。”こんなのでいいのか!”と気持ちを入れ直してやってきた中でまた1FCが来て今度こそ勝ってやるって、もう本気で。勝てた時はもう感動して、恥ずかしながら泣いちゃって」。2-1で勝利しブロック代表決定戦に進出すると、CAアレグレを下して中体連として3年ぶりとなる関東大会進出を決めた。

関東ではジェフ千葉に敗れたが、「県から積み上げてきたJへの戦い方とか、ちゃんと自分だけじゃなくみんなも発揮できて、結果は負けたけど満足できたのかなと思います」としたのは苦しい期間も新しい目標に向けて進み続け、それをやりきったという実感があるから。

そんな嶋田は中学での3年間で「仲間と協力してプレーすること」の大切さを学んだという。「中学校に入る前は“自分が絶対にやってやるんだ!”みたいな感じだったんですけど、中学校に入ってチームのみんなと試合を重ねるごとにサッカーっていうのは個人競技とは違って、仲間がいるから試合ができるし、仲間と団結するから勝てる。やっぱり自分だけじゃなくて仲間と協力してプレーするっていうことが大事というのを強く感じました」と嶋田。少年団時代はフィールドプレーヤーもやっており、エゴイスティックな面もあったというが、部活の仲間たちとのプレーや様々なことを学び、チームをまとめる『守護神』として大きく成長。「(もしいま小学校時代に戻れるとして)もしクラブチームに小学校の時に誘われていても、中学校の方に行っていたかなと思います」と南浦和中での3年間が心身ともに変えてくれたと感謝していた。

「少年団とか中学校に入りたての頃は「高校までサッカーをやるかな?」くらいの感じでやっていたんですけど、全国に行ったり、チームとして注目を浴びるようになってもっと上でやりたい、このチームでも実力を出せたんですけど、本当に名高いチームとかでやってみたい、それでプロに行きたいなと、途中からそれが夢になりました」というGKは今月から鹿島アントラーズユースへ。「背の高さを生かしたハイボールの処理とかが得意なのでそこは継続していって、逆に背が高い分、下のボールとか、あとは1対1とかの速い動きの対応とかがまだ未熟なので、そこを詰めてもっと上達していきたい」と課題に取り組みながら3年後のプロ昇格を狙う。

またその中でも中学で学んだ経験を生かしていく。「プレーの中でもいろいろ学んだことはあるんですけど、寮生活となる中で中学校の部活で学んだことの中には礼儀とか、挨拶とか、そういう人間性をしっかり高めるというのもあった。まずは荷物がグチャグチャとか、生活態度もグダグダみたいな感じで試合に出ていても、そもそも人間としてダメだと思うので、そこはしっかりできるような人間になって、それから技術も高められるようにしたいです」。

石黒登(取材・文)