ついに雪辱の舞台に帰ってきた。昌平は３回戦で創成館に3－0で勝利し２年連続のベスト８入り。そして５日の準々決勝では初の４強進出と埼スタ帰還を目指して山梨学院と激突する。

今大会は１回戦で高川学園に苦戦。それでも初戦でこの経験ができたのは大きかったかもしれない。「主導権を握りたいというスタンスの中で、そこがうまくいかないときに流れを持ってこられる力。ちゃんと流れを掴みながら勝負所で決めきるとか、本当にそういった部分に関しては良くなってきているというふうに思っています」と藤島崇之監督。うまくいかない時間帯でもイメージをしっかりと共有し、最後は決めきれるのがいまの強み。それに加えて対戦校が技術と同様に口を揃える攻撃から守備への切り替えの早さというのは全国の舞台でも際立っている。

また今大会は１回戦でMF篠田大輝、MF篠田翼、２回戦でFW小見洋太、MF平原隆暉、３回戦でMF荒井悠汰、MF須藤直輝、MF小川優介と７得点すべてを別々の選手が取っており、どこからでもゴールを陥れられる。指揮官はそれについて「ゴールに向かう姿勢という状況、もちろんボールを動かすだけではなく、そこからゴールまでにどう運ぶか、そしてどう崩すかというところのバリエーションに関してはいろいろ形を決めずにやってきた。そのパターンを決めない分、いろいろな選手がいろいろなチャレンジをして、そこにいろいろな発想を持っていける状況が増えてきたので、点を取れる局面というのがいろいろな選手に作られる状況になった」と分析する。相手ディフェンスにとっては的を絞ることができず守りづらいことこの上ないだろう。

守備に関しても初戦はやや不安定さもあったが、２、３回戦と連続できっちりと完封。セカンドを奪えないような場面でも唐木晃と生島翼のCBコンビは最後の部分で粘り強さを見せている。

これで２年連続のベスト８到達。須藤は「あまり実感という実感はないですけど、でも自分たちはやっぱり昨年の結果を塗り替えるために１年間やってきて、難しい試合を積み重ねてきて、やっとベスト８という最初の試練に向かうことができるというのはすごく嬉しい。もちろんそこで絶対に勝たなきゃいけないという強い想いはあるので、みんなで準備してやっていきたいと思っています」と意気込み。悲願の日本一への最初の関門。ここをくぐり抜けて一気に突き進む。

石黒登（取材・文）